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自動車産業インフォメーション

2025年5月23日

自工会の片山会長、「早期に関税回避を」 景気刺激策は短期的ならば

日本自動車工業会(自工会)の片山正則会長は22日会見し、日米関税協議について「自工会としては広く自由な貿易体制が適正だと考えている。引き続き早期に関税回避をお願いしたい」と語った。さらに「短期的」と前置きした上で「景気刺激策を考えていく必要がある」との考えを示す一方、「産業基盤を維持するためには車体課税の簡素化、軽減が継続的な需要の喚起につながる」と強調した。

 〝トランプ関税〟をめぐっては日米交渉が続いており、23日には赤沢亮正経済財政・再生相が訪米し、3回目の協議に入る。片山会長は「日米政府間で未来志向の道筋を見出すべく生産的な対話が継続されることに期待する」と語った。

 ただ、輸入車は4月3日、輸入部品には5月3日から追加関税が発動済みだ。政府は先月末に「緊急対応パッケージ」を発表し、相談窓口の設置や資金繰り支援などを実施中。これに対し、片山会長は「サプライチェーン(供給網)への配慮、迅速な対応をしていただいた」と評価する一方で、関税影響がより顕在化した場合の景気刺激策の必要性にも触れた。ただ、具体策への言及はなかった。

 片山会長は、関税影響が日本だけでなく世界市場に波及することを懸念しつつ「中長期的に国内需要を確保し、国内生産、雇用をいかに維持していくかという課題がますます顕在化、深刻化している」と語った。その上で自動車税制について「恒久的に国内ユーザーの需要を確保できる構造に変えるべき」と語った。具体的には自動車を購入する際、消費税との二重課税となっている「環境性能割」の廃止などを求めた。

 開催まで半年を切った「ジャパンモビリティショー(JMS)」については、6月下旬に概要を示す。三部敏宏副会長は「モビリティの未来の姿、モビリティそのものの魅力、モビリティのビジネスの3つを軸に、企業や生活者の皆様とさまざまな仲間が集まり、わくわくする未来を体感いただけるように検討中だ」と語った。

 今回の会見には、内田誠副会長の後任として日産自動車のイヴァン・エスピノーサ社長が姿を見せた。エスピノ―サ副会長は「日本の自動車産業の強みはものづくりに対する強い情熱と技術力、団結力だ。会長および副会長と力を合わせ、日本の自動車産業の発展と経済成長に貢献していきたい」と語った。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞5月23日掲載