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2025年5月21日

国交省、自動運転タクシー普及へ保安基準を改正 5月中にも公表 重大事故は運輸安全委が調査

 国土交通省は、自動運転タクシーの普及に向けた基準や制度案を5月中にも公表する。ステアリングやバックミラーなどがない「ドライバーレス車両」にも対応できるよう、道路運送車両法に基づく保安基準を改正する。一方で自動運転車が重大な事故を起こした場合、運輸安全委員会が調査する方針を示す。2026年をメドに引き続き、自動運転タクシーに関係する制度を整えていく。

 交通政策審議会(国交相の諮問機関)自動車部会傘下のワーキンググループで中間取りまとめを行う。取りまとめ案では、ドライバーがいることを前提とした現行の保安基準を改正し、ステアリングやバックミラー、ペダルなどがない車両に関する規定を整える。新規定は国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)にも提案し、日本主導で国際標準化を目指す。

 一方、自動運転「レベル3」(条件付き自動運転)以上で起きた死亡重傷事故のほか、速度違反や信号無視といった事故につながりかねない「重大インシデント」を運輸安全委員会の調査対象とする方針も示す。事故調査は自家用車も対象とする。また、自動運転タクシーの場合、事故が起きても乗客は法的責任を負う「運行供用者」には該当しないとの解釈を示す。運送主体であるタクシー会社や市町村などが自動運転タクシー事業を委託した場合は「運送主体が運行責任者に該当する」との解釈を示す。

 また、タクシー配車アプリの手数料は現在、旅行業法が適用されており、道路運送法に基づく運賃の対象外だ。これについて、自動運転も含めたタクシーの運賃体系に含められないかも併せて検討していく。

 政府は、26年に自動運転タクシーの実用化を目指しているが、同年にホンダと都内でサービス開始を予定していた米GMクルーズは車両開発を凍結した。他方、米国アルファベット(グーグル)の子会社で自動運転タクシーサービスを手掛けるウェイモは、先月から都内で自動走行用のデータ収集を始めた。法整備もにらみながら「ロボットタクシー」の日本での実用化を目指す。

カテゴリー 交通安全
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 5月21日掲載