2025年4月24日
オート上海2025が開幕 日本勢も新型EV続々 現地化を加速して反転攻勢へ
【上海=福井友則】「オート上海2025(上海国際自動車工業展覧会)」が23日、中国・上海市で開幕した。2023年に開催された前回は電気自動車(EV)一色だったが、今回は比亜迪(BYD)など現地メーカーがプラグインハイブリッド車(PHV)を多数展示した。一方、日本の自動車メーカーは、現地の合弁会社と共同開発した新型EVなどを相次ぎ発表した。人工知能(AI)を活用した知能化技術でも先行する中国勢に対し、日本勢は現地IT(情報通信)企業と手を組むなどして現地化を加速させ、反転攻勢に打って出る。
トヨタ自動車は新型EV「bZ7」、レクサスの新型「ES」を世界初公開した。bZ7は広州汽車集団と広汽トヨタ、トヨタ知能電動車研究開発センターによる現地開発車。車載OS(基本ソフト)にファーウェイ「ハーモニーOSコックピット」を採用した。トヨタ初のDセグメントEVセダンとなる。
新型ESは、グローバルで展開する旗艦モデル。EVとハイブリッド車(HV)を設定し、レクサスの次世代電動車ラインアップの第1弾となる。物理スイッチを内装と同化させたデザインの「レスポンシブヒドゥンスイッチ」を世界初採用するなど、機能性と質感の高さを両立させた。
トヨタ中国現地法人の李暉総経理は「今や中国は電動化や知能化など最先端技術をリードする市場。中国人の頭脳と腕で車両開発を進める」と強調した。
ホンダは、中国市場向けEV「イエシリーズ」の第2弾となる「広汽ホンダGT/東風ホンダGT」を世界初公開した。運転席は競技車両のようなコックピット感を演出、助手席は遠焦点ディスプレーを採用するなど、同じ車内空間で異なる移動体験ができることが特徴だ。
ホンダはまた、知能化・電動化で中国企業との連携を強化することも発表。先進運転支援技術ではモメンタと、電池ではCATL(寧徳時代新能源科技)とリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池を共同開発する。LFP電池はイエシリーズ第3弾から採用する。ディープシークのAI技術をすべてのイエシリーズに適応し、発売済みの「P7」「S7」にもOTA(オーバー・ジ・エア、無線更新技術)で実装していく。
日産自動車は、同社初となるPHVのピックアップトラック、「フロンティアプロ」を今年、現地で発売すると発表した。合弁会社の東風日産は26年末までに計8車種(うち日産車5モデル)としていた新エネルギー車(NEV)の投入計画を、27年夏までに計10車種(同9モデル)に修正した。現地での研究開発に100億元(約2千億円)を追加投資し、開発スピードも縮める。中国からの輸出も始め、フロンティアプロのほか、今月発売するEV「N7」は今後1年以内に海外市場に投入するという。
マツダは、今年発売する中国市場向け新型SUV「EZ―60」を発表した。重慶長安汽車との協業によるNEVの第2弾で、EVとPHVを設定する。航続可能距離はEVで約600㌔㍍、PHVでは1回の給油で1千㌔㍍超を見込む。30年までに現地生産のNEVを計4車種、投入する方針で、昨年、第1弾のセダン「EZ―6」を発売した。毛籠勝弘社長は「複数の新エネルギー車を擁して新境地を拓くことにチャレンジしていく」と話した。
オート上海の会場は36万平方㍍超の展示面積を誇る国家会展中心(NECC)で、出展者数は1千を超えた。展示車両は1400台超、世界初出展の車両は93台。日本勢ではトヨタ、ホンダ、日産、マツダの4社が参加し、デンソーなど日本の部品メーカーも多数、出展する。会期は5月2日まで。
「bZ7」を始めとするbZシリーズを紹介したトヨタ自動車
レクサスの新型「ES」シリーズはEVとHVを設定
ホンダ「イエシリーズ」の第2弾となる「広汽ホンダGT/東風ホンダGT」
日産のPHV「フロンティアプロ」
「複数の新エネルギー車を擁して新境地を拓く」とマツダの毛籠社長
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞4月24日掲載