2018年2月13日
国交省が検討、災害時の供給網復旧 共同輸送など企業間連携を想定
国土交通省は、地震などの災害時に企業のサプライチェーン(供給網)を早期に復旧させるための新たな施策を検討する。
地域内の企業や物流事業者どうしで事業継続計画(BCP)を擦り合わせたり、共同輸送に取り組むことなどを想定している。被災者の生活支援と合わせ、早期に企業活動を正常化させて雇用や地域経済への影響を最小化するのが狙いだ。
先月、就任した伊藤博信大臣官房参事官(物流産業担当)が専門紙との会見で明らかにした。伊藤参事官は「実現には経済産業省などとの調整も要る」と断りつつ「物流は企業の経済活動を行う基盤だ。被災者向けの観点に加え、企業の経済活動を早期復旧させるような物流はどうあるべきかを今後、検討していきたい」と語った。
国や企業は災害のたびに関連施設や設備を強化したり、BCPの普及や災害時の物流協定を結ぶなど、ハード、ソフトの両面で対策に取り組んできた。ただ、国の対策は被災地のインフラ復旧や被災者の生活支援が中心だ。被災企業にも低利融資などの支援策はあるものの、物流網の早期復旧などは主に企業側の取り組みに頼っている。
自動車業界でもサプライチェーンの総点検や復旧、代替生産計画作り、適正在庫の見きわめなど対策が進んだ。ただ、個別企業や取引先との連携だけではインフラが寸断されるなどの大災害時に十分に対処できないおそれもある。 物流関係省庁は先月末、2020年度を最終年度とする総合物流施策大綱に基づく具体案を公表した。災害対応では、緊急輸送道路の耐震補強を急ぐほか、物流事業者によるBCPの策定支援や支援物資輸送の円滑化などが盛り込まれた。国交省はこうした政府間の枠組みも活用し、サプライチェーンの強靱化を図りたい考えだ。
日刊自動車新聞2月10日掲載
カテゴリー | 会議・審議会・委員会 |
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主催者 | 国土交通省 |
対象者 | 自動車業界 |