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自動車産業インフォメーション

2025年4月22日

東京海上と損保ジャパン、指数対応単価引き上げ 7月以降入庫分から 整備業の環境改善へ

 東京海上日動火災保険と損害保険ジャパンが、今年度も保険修理の工賃算定に用いる「指数対応単価」の引き上げを決定した。東京海上日動は、「地域適用単価(基準額)」を見直すほか、特定整備認証の取得有無を評価に加える。損保ジャパンも指数対応単価を引き上げるとともに算出方法を見直し、整備事業者の工場規模などを加算要素とする。ともに7月1日以降の入庫分から適用する。環境変化や社会情勢を踏まえた修理単価の引き上げにより、整備士の賃上げなど整備事業者の労働環境の改善につなげていく考えだ。

 東京海上日動では2018年度から継続的に指数対応単価の引き上げを実施しているが、25年度の改定で例年と大きく異なるのは、CPI(消費者物価指数)変動結果を反映させて都道府県ごとに適用する地域適用単価(基準額)の見直しだ。人件費などを中心に整備業界での事業環境やコスト構造の変化を踏まえ、実質的な上昇額を150~490円とした。

 個別加算額も大きく見直す。「特定整備制度加算」を新設し、分解整備と電子制御装置整備の両認証を取得する整備事業者には100円の加算を行う。また、23年度から設ける「人件費加算」は、従来の100円から150円に引き上げる。

 産業廃棄物の処理費用上昇への対応も盛り込んだ。これまでは指数対応単価で一定の考慮をしてきたが、処理費用に不足が生じる場合には、同社が実態を把握した上で、個別に手当てが必要かどうかの協議を整備事業者と行う。詳細は今後検討を進める。

 損保ジャパンは、25年度の指数対応単価の全国平均を、24年度から8.05%(550円)引き上げ、7380円とする。指数対応単価の引き上げは3年連続となる。物価上昇を踏まえて、24年度に採用した算出方法を20年度から適用して算出し直した。20~24年度のコスト上昇(変動)分を遡及(そきゅう)補正した結果を25年度の指数対応単価に反映させた格好だ。

 算出方法の見直しでは、新たに工場規模によって異なる企業間コストや労務費の上昇を加算。単年度の指数対応単価算出で、CPI以外の要素を初めて取り入れた。

 事業者の規模によって異なるコストを踏まえて、従来のCPI変動スキームに加えて、「工場規模(整備要員数)」と設備投資状況や修理技術品質などを評価軸とする「設備・修理技術評価スキーム」を新たな加算要素とする。判定項目は、特定整備認証の取得有無やフレーム修正機などの設備投資とする。

 国土交通省と日本損害保険協会(損保協、城田宏明会長=東京海上日動社長)は今年3月、価格交渉に関するガイドラインをそれぞれ取りまとめた。これを踏まえて東京海上日動と損保ジャパンは25年度の指数対応単価方針を決定した。

日刊自動車新聞4月22日掲載