2025年3月31日
CEV補助金、「クルマと企業の取り組み総合評価」2年目へ 新たに「グリーン鋼材」追加
「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金」が4月から新しくなる。製造時の二酸化炭素(CO2)排出の少ない鋼材の普及を狙いに新たな評価項目が加わり、補助額も最大で5万円が上乗せされる。ただ、クルマの環境性能と企業の取り組みを考慮するため、トヨタ自動車の電気自動車(EV)「bZ4X」などの補助金が満額(90万円)となった一方、比亜迪(BYD)やメルセデス・ベンツなどの補助金が減るなど、明暗が分かれつつある。
制度のベースとなる補助額(上限額)は2024年度と同額で、EVは85万円、軽EVとプラグインハイブリッド車(PHV)は55万円、燃料電池車(FCV)は255万円。この枠内で、大きく7項目を評価し、得点数に応じて実際の補助額を決める。
評価の枠組みは大きく変わらないが、4月からは「整備体制/供給の安定性/車両の安全性」と「ライフサイクル全体での持続可能性の確保」がより重視される。特に求めていく事項として追加された「車両・電池の火災を防ぐための取り組み」「取引適正化に向けた活動実績」といった評価が補助額の増減に影響したとみられる。
また4月からは、これらの評価とは別の加算項目ができる。環境負荷の低い「グリーン鋼材」の採用意欲を評価するもので、高評価ならEVとPHVは最大5万円、軽EVは最大3万円が上乗せされる。
この項目では、メーカー間で評価が分かれた。上乗せ額をメーカー別(登録車)で見ると、満額の5万円が加算されたのはトヨタのみ。日産自動車、ホンダ、ジープなどは4万円、三菱自動車、スバルなどは3万円、マツダ、テスラなどが2万円。比亜迪(BYD)はゼロだった。
〝グリーン鋼材評価〟が加わったことで、現行よりも補助額が増える車種が半数以上を占める。トヨタは、レクサス「UX300e」「RZ300e」でも満額の90万円を確保した。トヨタ以外の日本車も大半で補助額が増える。輸入車でもテスラ、ヒョンデなどの補助額が増える。
一方、BYD「シール」の補助額は最大で10万円下がる。メルセデス・ベンツ「EQA」、ボルボ「EX40」なども同様だ。
輸入車勢の苦戦は、新設のグリーン鋼材評価に加え、整備士の育成や整備体制の構築などアフターサービスに関連する取り組みの評価が低かったからとみられる。BYDは、特にグリーン鋼材など環境面で評価が思わしくなかったようだ。
クルマと企業の取り組みを総合評価する今のCEV補助金制度は4月で2年目に入る。WTO(世界貿易機関)が定めた「内外無差別の原則」と政策効果の最大化という二兎を追うため、今後も不断の見直しが続きそうだ。
新たな補助額は、4月1日以降の登録・届け出分から適用される。
対象者 | 一般,自動車業界 |
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日刊自動車新聞 3月31日掲載