2025年3月28日
国交省、地域の交通課題解決へ 実証成果を全国展開
国土交通省は、日常生活や観光の移動手段確保・維持が難しい「交通空白」の解消に向けて、官民連携のパイロットプロジェクト(先行的実証事業)を全国展開する。2025年度には20件程度の実証事業を予定しており、第1弾として選定した8件の実証事業には、自動車メーカーやディーラーの関連会社も参画する。各実証の成果や課題の共有を進めながらノウハウを蓄積し、地域の交通課題解決を目指す。
施設送迎(宿泊、介護、教育)のリソースシェアの概要(国交省資料より)
群馬県みなかみ町などでは、宿泊・介護・教育など複数の施設に利用者を送迎する車両の共同配車管理システムを開発する。運行・配車管理の専門知識がない施設職員らでも活用しやすいシステムとし、施設送迎の負担軽減や観光地における移動の足の確保を図る。25年度の開発成果はオープンソースとして公開し、26年度から本格普及を目指す。
事業主体の1社として岡山トヨタ(梶谷俊介社長、岡山市)のグループ会社、岡山トヨタシステムサービス(梶谷拓史社長、同)が参画する。地域交通の課題解決に取り組むトヨタ・モビリティ基金(豊田章男理事長)が、事業支援で参加する。
千葉県南房総市と館山市で行う鉄道事業者などの「公共ライドシェア(自家用有償旅客運送)」の実証事業には、日野自動車が運行管理で協力する。同社は23年7月から自家用有償向けの遠隔運行管理受託サービスを展開している。JR東日本の社員がドライバーとして協力し、鉄道駅から観光地などへの二次交通の確保に取り組む。
第1弾では、デジタル技術を活用した日本版・公共ライドシェアの導入促進なども実施予定。電脳交通(近藤洋祐代表取締役、徳島市)と配車アプリ企業などは、各社で異なる複数の配車アプリを連携させて共同配車を可能にするシステムの開発と業務モデルの標準化に取り組む。
地方創生の基盤である地域交通を守るため、国交省は昨年9月に国交相が本部長を務める「『交通空白』解消本部」を設立。関係省庁と連携して、伴走型支援に取り組んでいる。そして今年5月にも、今後3年間の取り組み方針を策定・公表する予定だ。
同本部は24年11月に「『交通空白』解消・官民連携プラットフォーム」を設置。自治体、交通事業者をはじめ商業、農業、教育、介護などさまざまな分野の企業・団体間の連携・協働を促し、実証事業の展開を後押ししている。会員数は現在約1千者。25年度は5つの重要テーマに基づき20件程度の実証事業を順次公表・展開する。
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞3月28日