2025年3月27日
NEXIの黒田篤郎社長、トランプ関税で「投資環境変わる」
企業の貿易取引におけるリスクをカバーする日本貿易保険(NEXI、東京都千代田区)の黒田篤郎社長は25日、都内で会見を開き、米トランプ関税について「米国の地政学リスクは上がっている。関税によって投資環境は変わっていくだろう」と述べた。
NEXIは政府が全額出資する保険会社で、民間ではカバーできない戦争や自然災害、取引先の破産時などの損害をカバーする保険を手掛けている。
制裁関税による損害も対象としており、今回のトランプ関税において「支払いに至ったケースはまだ無い」が、関税分の追加費用の発生や、取引先による契約の一方的なキャンセルなどに関する問い合わせが企業から寄せられているという。
ただ、貿易保険は一般的に、紛争地など貿易リスクが高い国向けの取引にかけられることが多く、「安全な国」として認定されている米国向け取引で契約している企業は多くはない。実際、第1次トランプ政権が行った関税措置に関連するNEXIの保険支払い件数は3件ほどだったという。米国は、他国から輸入される自動車の関税を引き上げる「自動車関税」の措置を検討しているが、「完成車・部品会社で米国向け輸出に保険をかけている企業はあまりない」という。そのため、関税が引き上げられた場合でも、自動車関連産業で保険支払いの対象になるケースは少ないとみられる。
黒田社長は、「サプライチェーン(供給網)の広がりで、どこで問題が生じるか分かりにくい(状況にある)」とし、関税措置を含む貿易リスクにこれまで以上に備える必要性を訴えた。
日本貿易保険の黒田篤郎社長
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞3月27日掲載