2024年12月20日
トヨタ、2025年の世界生産 2年ぶり1000万台超計画
トヨタ自動車が、2025年に1千万台超の車両生産(トヨタ車・レクサス車)を計画していることが分かった。暦年ベースでは、2年ぶりに1千万台の大台を超えることになる。現在、サプライチェーン(供給網)の生産能力を精査しており、来年1月中旬にも部品メーカー各社に正式に伝えるとみられる。電気自動車(EV)需要の鈍化や中国での販売苦戦、トランプ次期米政権の通商・産業政策など懸念材料もあるが、認証不正による稼働停止からの挽回生産やハイブリッド車(HV)の需要増、新型車の積極投入なども追い風に、高水準の生産を見込む。
24年は10月までの累計で国内約258万台、海外約529万台の合わせて約788万台を生産した。ただ、24年暦年ベースでは950万台超と2年ぶりに1千万台を割り込む見通し。認証不正やリコール(回収・無償修理)で一部車種の生産を見合わせたことなどが影響した。10月からは、現場の課題を洗い出す「足場固め」が進んだこともあり、挽回生産に入っている。宮崎洋一副社長は「下期はグローバルで年間1千万台の生産ペースに戻す」と11月の決算説明会で語った。
今後は、新型車「クラウンエステート」の発売や「アルファード/ヴェルファイア」「ノア/ヴォクシー」の一部改良などを予定する。一方で人気車種を中心に高水準な生産が続く中、「足場固め」で培った改善成果も生かし、現場の負荷にも目配りした円滑なオペレーションが求められる。このため、部品各社の生産能力を聞き取ってきめ細かく反映させるなど、例年以上に時間をかけて計画を精査している模様だ。
部品メーカー各社は、トヨタから示された計画をベースに自社の生産や収益計画を策定する。ある部品メーカー首脳は「計画台数を確実に供給できる能力を確保する」としつつ「収益前提としては台数を5%程度低めに、新車の量産開始を約3カ月遅れでセットする予定だ」と明かす。他の部品メーカー幹部は「各社の生産能力を把握し、精度の高い計画をもらえるので、不測の事態がない限りは計画通り進むのでは」とみる。「認証不正などで生産を落とした分の挽回はあるが、中国の減産リスクは懸念材料だ」と話す部品メーカー首脳もいる。
ただ、トヨタは燃費改善効果の高いストロングHVを多くラインアップし、各国・地域に新型車を途切れなく投入できる開発力もある。系列部品メーカーを含め、初期投資をできるだけ抑えつつ、電動車需要の増減に追随できる体制も整えており、25年も手堅く生産台数を積み上げそうだ。
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞12月20日掲載