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2024年10月09日

日本バス協会 業界取り組み方針「バス再興 10年ビジョン」策定

日本バス協会(清水一郎会長)は、今後の10年を見据えて業界の取り組み方針をまとめた「バス再興 10年ビジョン」を策定した。2030年までに路線バスで自動運転技術「レベル4」(特定条件下における完全自動運転)と完全キャッシュレスの本格導入を目指すほか、電気自動車バス(EVバス)の普及や、運賃支払いの完全キャッシュレスの推進も図る。深刻化する運転手不足や燃料価格の高騰など、バス産業を取り巻く環境は危機的状況にある。次世代バスによる輸送サービスの早期実現や利便性向上を図ることで、地域の路線維持・利用拡大と事業者の収益改善などにつなげていく。

自動運転バスでは、現在は一部限定エリアで実証実験段階の一般道路における本格運行を進め、交通事故削減や運転手不足の解消などにつなげる。同時に自動運転でも「安全・安心確保の面で人の役割を重視する」考えも示した。

「完全キャッシュレスバス」は、事業者の現金管理コストや運転手の負担軽減を図るとともに、利用者の利便性も向上する狙いだ。今後、現金とキャッシュレスで運賃に差をつけるなどして実現に向けた環境整備に取り組む。

車両の電動化も推し進める。昨年公表したEVバスを30年までに1万台導入する目標も同ビジョンに盛り込んだ。変電・充電設備などインフラの充実も図る。

国内のEVバスの保有台数は23年3月末時点で252台。大半が中国メーカー製だが、今後は国産EVバスを積極導入し国内生産を後押しする。燃料電池自動車(FCV)バスの導入も進める。

運転士、整備士の待遇改善で採用増や定着率向上を図る。外国人の在留資格「特定技能2号」の分野に自動車運送業が追加されたことから、外国人運転手の採用も力を入れる。

こうしたバス産業における今後のビジョンを業界内外に示し、国には予算、税制、法律の各面でバス事業者支援の強化も訴える。国土交通省など関連省庁では、EVバスと充電設備の導入補助金拡充や、路線バスの自動運転サービス実現に向けた取り組みを強めている。11月からは選定された18事業者29路線で、完全キャッシュレスバスの実証運行を順次開始する予定だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞10月8日掲載