2024年8月22日
オートバックスセブン 店舗で福祉車両の点検・整備受け入れ開始
オートバックスセブンは、福祉車両の整備や点検の入庫受け入れを開始した。子会社が運営している千葉県内の9カ所の「オートバックス」店で対応している。同社によると、福祉車両のメンテナンスに関するサービスをカー用品店が提供するのは珍しい。ただ、実際の作業には専門的な知識やノウハウが必要になる。このため、日本福祉車輌協会(上田満樹理事長)に加盟している整備工場と提携し、ここに委託する形とした。国内で少子高齢化が鮮明となっており、将来的な福祉車両の増加に対応する狙い。同社では今後、対応店舗を全国に拡大したい考えだ。
福祉車両の受け入れは、オートバックス東日本販売千葉カンパニー(倉茂義人社長、千葉県市川市)で始めた。運転支援装置によって障害者自らが運転できる「自操車」と、スロープや昇降機で車いす利用者の乗降をしやすくするなどした「介護車」の両方を受け入れる。各店舗では入庫の受け付けや作業後の納車を担当。点検や整備は整備事業者のエーゼットファクトリー(小野田直社長、千葉市若葉区)が行う体制になっている。
また、日本福祉車輌協会が実施している専門資格「福祉車輌取扱士」を取得したスタッフを、各店舗に1人以上配置した。この資格を取得するには福祉車両に使われている機器や部品の名称や特徴などに加え、福祉車両に関する税制といった専門的な知識が必要になる。福祉車両への知見を深めたスタッフを店頭に置くことで、ユーザーからの問い合わせに円滑に応えられるようにし、顧客満足(CS)を高める。加えて、提携工場との打ち合わせもしやすくし、業務効率の向上にもつなげていく考えだ。
オートバックスセブンではこれまで、店頭やサービス工場でのトラブルを回避するため、福祉車両の入庫を積極的に受け入れていなかった。福祉車両はさまざまな用途があり、それに合わせて通常の車両とは異なる装備が施されている。このため、スタッフの誤った操作により、事故を誘発する懸念があったからだ。しかし、専門的な知識を身に付けたスタッフを育成するとともに、福祉車両の整備に詳しい事業者とも提携したことで、自社の整備士とも知見が共有しやすくなった。今後も、福祉車両のノウハウを得る機会としても役立てていく考えだ。
福祉車両は多くの自動車メーカーが取り扱いを増やしたことなどにより、ここ数年、安定した販売が続いている。新車を購入したユーザーはディーラーや架装業者に整備や点検を依頼するのが一般的。しかし、中古車を購入するなどしたユーザーの中には、メンテナンスに困るケースもあるとみられる。広く店舗展開しているオートバックスの店舗がこうしたユーザーとの接点になることで、適切な整備や点検機会の創出につなげる狙い。
また、同社では今後も提携工場と連携して福祉車両のメンテナンスを手掛けていくが、オートバックスの店舗で直接作業を行える体制も目指していく考えだ。
カテゴリー | 社会貢献 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞8月20日掲載