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2024年7月23日

福井県 XR技術を搭載したバス、駅と観光スポット結ぶ

福井県が6月から運行を始めた「XR(クロスリアリティー)バス」に注目が集まっている。現実世界と仮想世界を融合させたXR技術を搭載したバスで、福井駅と観光スポットを結ぶ。目的地へ到着するまでにスポットにまつわるコンテンツを提供することで非日常空間を演出。観光客の目を楽しませ、移動時間の付加価値を創出するだけではなく、交通インフラや運転手不足など地域交通が抱える社会課題への解決にもつなげていきたい考えだ。

新感覚XRバスツアー「WOWRIDE(ワウライド)」と銘打ち、運行を始めた。バス名は「いこっさ!福井号」。勝山市の恐竜博物館やあわら市の芦原温泉などを走行する複数のルートが設定されている。

客室窓はふさがれており、車内は左右に7面ずつ、天井に3面、運転席と乗客席の間に3面の合計20面の液晶ディスプレーを設置し、映し出す映像でVR(仮想現実)を作り出す。また社外の景色を4台のカメラで撮影し、ライブで各ディスプレーに映し出した上、外景にさらに映像を重ねることにより、AR(拡張現実)を可能にしている。

今回の取り組みは観光地までの道中をエンターテインメント化するだけでなく、地域課題の解決につなげる狙いもある。福井県は車で移動することが多く、観光についても車に依存している。一方、福井駅から各観光スポットまでは離れており、移動に時間がかかるのが実情。そのため公共交通機関の充実と長い移動時間に対する観光客への負担軽減などが課題となっていた。そこで今回のXRバスの運行により、移動そのものに付加価値を付けることで、交通インフラの課題に取り組む。

バスの運転手不足についても課題解決への糸口を見い出す。バスツアーの参加者は家族連れが多いことから、XRバスでの楽しい思い出を通じて、将来的にバスの運転手を希望する子どもたちが増えていくことに期待を寄せている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月12日掲載