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2024年7月04日

政府、自動運転サービス早期実用化へ検討会 官民連携でインフラ支援

政府は、自動運転に必要な道路や情報通信といった社会インフラのあり方を考える検討会をこのほど立ち上げた。路車協調システムなどの技術基準をつくり、自動運転サービスの早期実用化につなげて物流や地域公共交通の課題解決を目指す。

「自動運転インフラ検討会」(座長・羽藤英二東京大学大学院教授)の初会合を6月27日に開いた。自動運転車に対する高速道路と一般道路におけるインフラ支援と、道路交通情報をリアルタイムに提供するための体制やルールづくりを担う。具体的な検討事項として、路車協調システムや自動運転車優先レーンなどの道路構造、道路交通情報の収集・提供体制など大きく6項目を挙げた。

高速道路では、道路インフラ側から自動運転トラックに本線車両の走行情報などを提供する「合流支援情報支援システム」や「先読み情報提供システム」の技術基準を策定する。国土技術政策総合研究所が中心となって官民連携で構築した普通車向けのシステムを活用する。高速道路上で自動運転車の不具合や事故が発生した場合の対応手順も定める。

今年度内に新東名高速道路の駿河湾沼津サービスエリア(SA)~浜松SAに自動運転優先レーンを設置し、路車協調による「レベル4(特定条件下における完全自動運転)」トラックの実証を行う。今夏に参加者を公募し、年度後半から実証を始める。25年度末まで実施し、以降は東北自動車道などに展開する。

一般道路においては、25年頃までに「交差点センサー」など路車協調システムの当面の実装に必要な技術基準を整備する。この間に行われた実証の効果検証などを踏まえ、25年以降に全国展開を視野に入れた技術基準などを整備していく。

道路インフラ側から自動運転車にリアルタイムの道路交通情報を提供する手段の一つとして、信号情報の活用を検討する。「V2X通信」による路車間協調などの実現に当たっては、周波数割り当ての見直しなども必要となる。信号情報などの提供体制やルールのあり方は警察庁と総務省が連携して検討する。

多様な道路環境や交通状況の下で自動運転車が安全に走るためには、インフラによる支援が必要との認識が改めて広がっている。ただ、実用化に向けては、費用対効果を高め、国際標準にも目配りした基準づくりが求められそうだ。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月4日掲載