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2023年10月16日

カー用品業界 電動キックボード市場へ参入進む、安全面改善にも貢献

自動車用品業界で、電動キックボード市場に参入する動きが広がっている。同市場はスタートアップ企業を中心に構成しているが、7月の改正道路交通法の施行後は、カー用品店などで取り扱う事例が増えている。公共交通機関の縮小や脱炭素化の対応が社会全体の課題となる中、多様な移動手段を提供できるマイクロモビリティへの期待が高まっている。

カー用品業界もこうした需要を取り込む考え。また、自動車業界は従来から、保安基準や安全運転への意識が高い。こうした事業者の参入が増えれば、電動キックボードが抱える安全面の課題の改善にもつながりそうだ。

カー用品の小売り事業者では8月から、オートバックスセブンが一部店舗で販売している。3メーカーの製品をそろえているほか、旗艦店のアピットオートバックス東雲(東京都江東区)などで、購入前の試乗にも対応している。参入の理由は「〝出かける楽しさ〟を提供する中で、法改正を機に本格的に販売できると判断した」(広報)ことだ。

同社は5月に発表した長期経営計画でも、今後の事業戦略の一つにマイクロモビリティを挙げている。今回の電動キックボードの導入を足掛かりに、さらなるニーズの開拓を進めていくとみられる。

部品商社のエンパイヤ自動車(上橋敦社長、東京都中央区)も、電動キックボードの取り扱いを始める。同社ではホームセンター向けに卸売りしていく計画だ。担当者によると、「ホームセンターでは、試験的に電動キックボードの販売を始める動きがみられる」という。

ホームセンターは電動アシスト自転車などを販売しているケースも多く、同様の移動手段となる電動キックボードとの親和性が高い。また、店頭ではヘルメットなども販売していることから、課題となっているユーザーへの安全性の訴求でも期待できる。同社でも「ヘルメットとセットでの提案を、ホームセンターに依頼する」(同)戦略だ。

カー用品メーカーでは、電動キックボードの開発に乗り出す動きも出ている。オフロード車用のカスタム用品を手掛けるIPF(市川喜一郎社長、群馬県高崎市)は、市販化を念頭にしたコンセプトモデルを製作した。新事業として2024年中の量産化を目指す。従来の用品づくりで培ったノウハウを基に、オフロード走行に対応するなど趣味性を意識したモデルを投入し、競合他社と差別化する狙いだ。

今後、拡大が見込まれる電動キックボード市場。普及が進めば、関連用品のニーズが高まることも想定される。例えば、近年登場した首にかけるドライブレコーダーは電動キックボードのユーザーにも対応できるほか、課題となっている交通マナーの順守にも役立つと考えられる。こうしたニーズの変化に適応していけば、カー用品の関連事業者の新たなビジネスチャンスにもつながりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞10月14日掲載