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2023年9月13日

輸入EV8月シェア12%で過去最高 ラインアップ拡充とPR活動が奏功

国内市場に投入される輸入電気自動車(EV)が増えている。日本自動車輸入組合(JAIA、上野金太郎理事長)によると、8月下旬時点で輸入EVを取り扱っているのは16ブランド。車種やグレード別で98もの仕様を販売している。

2022年12月中旬時点では15ブランド・79仕様だったため、1年たたずに20近くの仕様が増えた格好。インポーター各社のEV攻勢に比例し、販売も拡大。8月の外国メーカー車の新規登録台数に占めるEVシェアは12・1%となり、単月として過去最高を更新した。各社は顧客向けのPRを強化しており、今後も輸入EVの販売が伸びそうだ。

JAIAがまとめた8月の外国メーカー車の新規登録台数は前年同月比0・4%減の1万6886台。このうち輸入EVは2044台で、前年同月から約2・6倍もの伸びを示した。EVのシェアも同7・5㌽増の12・1%となり、これまでの過去最高だった22年11月(10・4%)を超えた。

外国メーカー車に占めるEVシェアが2桁を超えるのは2回目という。23年1~8月の輸入EVシェアは前年同期比3・7㌽増の8・0%。足元の勢いが続けば、暦年で22年の5・9%を大きく上回る可能性が高い。

輸入EVのシェアを押し上げているのは積極的な商品投入に加え、インポーター各社による顧客向けの広報活動が大きい。輸入EVの販売台数は急拡大しているものの、「EVの認知度はまだ不十分」との見方をするインポーターが少なくない。このため、より広い消費者への情報発信に力を注ぐことで、新たな需要の創出につなげる狙いだ。

例えば、ヒョンデモビリティジャパン(趙源祥社長、横浜市西区)は、日本発売前の新型EV「コナ」を約1カ月間にわたって一般公開している。国産車を含めて発売前の車両を一般公開する事例はあるが、これほど長期になるケースは珍しい。同社は年内の発売に向けた販売拡大の下地づくりに位置付けており、「集客力がある場所で新型車を公開し、発売前からコナの話題性を高めていく」(担当者)計画だ。

テスラモーターズジャパン(東京都港区)も1日に一部改良した「モデル3」を、報道陣に公開。幅広い情報発信につなげることで、顧客の関心を高める考えだ。

年末にかけて、新たな輸入EVの導入を計画するインポーターもあり、今後も車種や仕様が増加していくのは間違いない。販売競争も激化するとみられ、各社の広報や宣伝活動の巧拙が勝敗を分けそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月13日掲載