2023年8月24日
秋田で「2024年問題」解決へ実証実験 複数の手段組み合わせ輸送効率向上
秋田運輸支局が立ち上げたトラック輸送における取引環境・労働時間改善秋田県協議会が20日に「首都圏向け青果物の物流効率化 実証実験」を開始した。2021年から3回目となる実証で、秋田県トラック協会や国土交通省、運送事業者、農業協同組合(JA)が連携。物流ソリューションを展開するHacobu(ハコブ、佐々木太郎社長CEO、東京都港区)が3年連続でコンサルティングパートナーとして参画した。
今回は過去2年の実証の集大成として複数の輸送手段を組み合わせ、積載率向上とドライバー拘束時間の削減を両立可能な輸送体制の確立に取り組み「2024年問題」の解決を目指す。
同協議会は、トラック輸送の取引環境およびドライバーの労働環境改善に向けて15年に発足。足元では、24年4月から時間外労働上限が年間960時間に規制されドライバー不足が深刻化するという2024年問題への対応に重点を置き、活動を展開している。
秋田では各JA拠点間の距離が長く、集荷に時間がかかることに加え、納品先の首都圏卸売市場までの距離が約600㌔㍍もあるため、荷役作業・待機時間を含むドライバー拘束時間を短縮しにくかった。その改善に向けて実証実験に着手した。
21、22年度の実験では集荷輸送と幹線輸送を分離するとともに、集荷ルートの見直し、ハブ拠点(中継点)を設置するなどして、ドライバーの長時間労働の改善と青果物輸送全体の効率化を検証した。その結果、長距離トラックの労働時間が約25%、トラックの総活動時間が約22%それぞれ減少し、ドライバーが創出する付加価値が1人当たり約30%向上する成果を確認した。
23年度はこれらを踏まえつつ「集荷・幹線便」と「直送便」の台数減便に取り組み、一層の輸送効率向上を図る。さらに、出荷前日の午前中に報告される各JA集積所の出荷数量情報を物量データに変換し、同日午後に最適な配車計画を作成する。これにより日々の出荷内容(物量・仕向先)に応じた最適な輸送ルート・台数を導き出し、積載率の最大化と拘束時間削減の両立を図る考えだ。
実験は26日まで実施。県内各地のJA集積所から集荷した積み荷をハブ拠点へ集約後に首都圏市場に輸送する「集荷・幹線便」と、各JA集積所から立ち寄りなく直接、首都圏市場に輸送する「直送便」の2つの輸送手段を組み合わせて、効率化とドライバー負担の軽減につながる体制づくりに取り組む。具体的なテーマは①直送/集荷/幹線便による輸送最適化②出荷情報連携の早期化・精度向上③パレット運用/パレタイズ作業の最適化④首都圏市場への取り組み―とした。
そこでは出荷数量、集荷ルート、ハブ拠点への入出庫時間、ハブ拠点での作業時間、ハブ拠点から首都圏市場に輸送する際の待機時間・荷役作業卸時間、輸送時間など取得データを分析しサプライチェーン全体の最適化に反映する。これらの成果を具体化して24年度中に社会実装し、2024年度問題への本格対応につなげていく考えだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞8月21日掲載