2023年7月05日
西新宿エリアで自動運転モビリティ定期運行 サービス事業化や持続可能性検討
新宿副都心エリア環境改善委員会(伊藤滋理事長)と自動運転のスタートアップや損保、通信キャリア、エレクトロニクス関連、ゼネコンなどの10者は、7月から毎月3日間ほどの日程で、西新宿エリアで自動運転モビリティを定期運行すると発表した。
自動運転車の本格導入を目指し20年度に始動したプロジェクトの成果を活用し、街の魅力づくりにおける自動運転車の定期運行の効果や、民間資金によるサービス持続可能性を検証する。自治体・企業の試乗や遠隔監視の視察を受け入れ成果を広く発信し、早期の社会実装につなげていく。
同委員会は、オフィス、ホテルや飲食店・病院、学校公園などさまざまな施設が集う西新宿エリアで進む再開発をにらみ、街を活性化するツールの一つとして自動運転車の導入を目指している。同エリアは幹線道路や通路が地上と地下に立体的に配置される構造のため、上下移動が多く目的地までの経路がわかりにくいほか、回遊性やにぎわいが欠けることが課題に挙げられていた。
こうした中、自動運転モビリティのプロジェクトでは、20年に自動運転技術の成熟度や遠隔操舵の有用性、21年度には信号やトンネルといった街のインフラとの協調を検証。22年秋には周辺施設でのイベント開催に合わせて自動運転モビリティを走行させるとともに、それらとの連携を通じて来街者の回遊性向上に対する貢献度などを検証した。
23年度は平日と休日を含め毎月3日間ずつの定期運行に踏み切る。新宿住友ビル前を起点に新宿駅西口地下ロータリー、新宿中央公園の間のコースを10~15分で回遊する。人の流れや街の魅力づくりの効果を定量評価するとともに、サービス事業化の可能性を本格的に探る。同公園やSOMPO美術館などのイベントと連携して、自動運転モビリティの話題性を高める。
同時に運行管理の安心・安全に向けて「固定型配車端末の運用」「遠隔監視」、コネクテッドサポートセンターからの「遠隔見守りサポート」を試す。「信号情報の連携」「トンネル走行支援技術(トンネル壁面の特殊塗料による自動運転支援)」など路車間連携技術を、関係行政機関と協議の上、導入する計画だ。
車両は、トヨタ「JPNタクシー」を1台、自動運転「レベル2」(特定条件下での自動運転機能)に改造して使用する。車体には子どもらの絵をラッピング。乗車人数は1回当たり2人で運賃無料。乗客にはアンケート調査に協力してもらう。乗車予約は無料通信アプリ「LINE(ライン)」を通じて受け付ける。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
---|---|
対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞7月3日掲載