2023年6月30日
日車協連 溶接技能者教育に着手、作業品質向上を支援
日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連、小倉龍一会長)は2023年度内に、日本溶接協会(粟飯原周二会長)が展開する講習を活用した溶接技能者の教育に乗り出す。2年間で約1千人の受講完了を目指す。日車協連では22年度に「自動車補修接合管理者」の資格を新設している。これとの2本柱で、各組合員の溶接作業の品質向上に役立てるともに、管理体制の構築支援につなげる考えだ。
溶接技能者の教育では、日本溶接協会の「溶接技能向上のための講習会」における半自動溶接部門の学科と実技を活用する。現在、関係者18人が先行して受講しており、これが終わり次第、自動車の補修に適した内容への変更に向けて協議する。具体的には実技の「突合わせ溶接」に使う鋼板の板厚を、自動車で一般的な1㍉㍍程度に切り替えることなどを要望する。
日車協連が溶接技能者の教育に外部機関を活用するのは、組合員に自動車の補修溶接に必要な技能を体系立てて身に付けてもらうためだ。自動車補修で一般的な「ミグ溶接」は「同一の溶接条件でもトーチを当てる角度などで、溶接部の強度が微妙に違ってくる」(日車協連)という。実技における溶接部の強度試験などをクリアすることで、技能者それぞれの癖などにも左右されない溶接品質の確保につなげる。
日車協連では22年度に、溶接管理者の資格を創設した。自動車車体整備士を対象に講習を開催し、初年度は約1200人が修了している。有資格者は溶接技能者が行う作業の施工要領書と品質記録を管理する役割を担う。作業のエビデンス(証拠)を用意することで、万が一、修理した車両にトラブルが起きた時などに説明責任を果たせるようにする狙いがある。
日車協連では、溶接管理者と溶接技能者を組合員各社にそれぞれ配置する形を目指している。これにより、溶接品質の維持や向上を図るとともに、コンプライアンス(法令順守)の徹底にもつなげたい考えだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞6月28日掲載