2023年4月26日
マツダ ロータリー搭載PHV「MX-30 eスカイアクティブ」日本初公開
マツダは、ロータリーエンジン(RE)を搭載したプラグインハイブリッド車(PHV)「MX―30eスカイアクティブR―EV」を日本初公開した。REは「RX―8」の生産終了(2012年)に伴って姿を消したが、発電専用エンジンとして約11年ぶりに復活する。青山裕大取締役専務執行役員は「どのような形でも、たくさんではなくてもつくり続ける」と、REにこだわる姿勢を示した。
ヘリテージカーなどを集めた「オートモビルカウンシル2023」(14~16日、幕張メッセ)で、ブリュッセルモーターショー(今年1月、ベルギー)で初公開した欧州仕様を披露した。欧州で23年後半に発売した後、日本でも発売する。時期は未定だ。
MX―30の電気自動車(EV)モデルの半分程度となる17・8㌔㍗時のリチウムイオン電池を搭載し、電池のみで85㌔㍍(欧州WLTPモード)を走行できる。エンジンを発電機として使う「シリーズハイブリッド車」で、ガソリン分を含め、700~800㌔㍍の航続距離を確保する。
搭載するRE「8C型」(排気量830cc)は新開発のシングルローターエンジンだ。REはレシプロエンジンと比べ小型・軽量化で高出力化しやすいが、排出ガスの浄化や燃費性能の確保が課題だ。このためマツダは、8Cを2300~4500回転/分と狭い領域で作動させることで燃焼条件をそろえ、排ガス対策をしやすくした。
燃焼効率も改善させている。最終型のRE「13B型」の最終仕様ではポート噴射だったが、8Cは直噴方式とし、圧縮比を10・0から11・9に高めた。EGR(排ガス再循環システム)クーラーも採用し、エンジンの損失低減や異常燃焼の抑制も図った。
発電専用エンジンとして信頼性や耐久性にも目配りした。軽量化のためサイドハウジングを鋳鉄製からアルミ製に変更した一方、ハウジング内部にセラミック系の溶射加工を施して摩擦損失を低減。ローターとサイドハウジング(レシプロエンジンのシリンダーヘッドに相当)の接触部に組み込む「アペックスシール」の幅を従来の2・0㍉㍍から2・5㍉㍍に広げて耐摩耗性を高めた。エンジン部品の加工は本社工場に新設したラインで行い、組み立ては従来通り宇品工場で手がける。
REはマツダ車を特徴づける基幹技術だった一方で、たび重なる排出ガスや燃費の規制、マツダ自身の経営悪化など、幾度となく存続の危機に見舞われ、その都度、乗り越えてきた。しかし、小型・軽量で静粛性も高い特徴が発電専用エンジンに向くほか、REは水素を燃やしてもノッキング(異常燃焼)を起こしにくく、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)時代のエンジンとして復権する可能性もありそうだ。
カテゴリー | 展示会・講演会 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞4月18日掲載