2023年3月31日
EUとドイツ 35年以降の内燃機関車、合成燃料のみ販売容認へ
欧州連合(EU)の欧州委員会とドイツ政府は、2035年以降も条件付きで内燃機関車の販売を認める方向で合意した。これまでハイブリッド車(HV)を含む内燃機関車の販売を35年に禁止する予定だったが、合成燃料を使う場合に限り認める。電気自動車(EV)シフトを急いできた欧州だが、政策が具体化するに連れて加盟国の足並みが乱れ、政策を修正する動きが出てきた格好だ。
EUのティメルマンス欧州上級副委員長が「eフューエルの将来の使用についてドイツと合意した」とツイッターで明らかにした。EUでの内燃機関車の販売禁止をめぐっては、22年10月に欧州委員会の法案を受けて欧州理事会と欧州議会が基本合意した後、23年2月には欧州議会が法案を可決していた。
しかし、欧州理事会での法案承認前に、ドイツが合成燃料の活用による内燃機関の販売継続案を提起。フランスはドイツの主張に反対したものの、ドイツと関係が深いイタリアやポーランドなどの一部の国が賛同した。EVへの性急な移行による電池資源の不足や雇用問題への影響といった現実的な課題が背景にあるとみられる。
今後、欧州の各機関で修正法案が認められれば、HVに強みを持つ日本の自動車メーカーに有利に働く可能性はある。ただ、合成燃料はコストや供給面で課題があり、大量普及へのハードルは高い。域内各国の政府や企業で産業政策や企業戦略が交錯する中、欧州の方針が今後どのように定まるのかは依然として不透明な状況が続く。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
---|---|
対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞3月28日掲載