2023年1月12日
日刊自連載「回顧2022年」(4)中古車 慢性的な品不足で価格高騰
2022年の中古車市場は、慢性的な中古車不足と価格高騰に振り回された。新車の供給不足により、中古車の販売台数は毎月、前年割れが続いている。また、中古車輸出は前年並みの水準で推移。国内の小売り向けと輸出向けで業者間の仕入れ競争が激しさを増し、中古車オークション(AA)相場も上昇の一途をたどった。
しかし、今秋に新車販売がプラスに転じたことなどを背景に中古車の流通台数も増加。AA相場は11月ごろから下がり始めており、足元ではコロナ禍による影響がだいぶ薄まってきたようだ。
22年の登録車と軽自動車を合わせた中古車販売台数は、1月から11月までマイナスが続く。減少幅は1桁台にとどまっているものの、上下を繰り返しながら推移している。
こうした事態を反映し、AA相場も高騰した。AAの最大手、ユー・エス・エス(USS)は、成約単価が11月まで6カ月連続で100万円超えを記録。日本中古自動車販売商工組合連合会(JU中商連)、トヨタ・オート・オークション(TAA)、シーエーエー(CAA)も高止まりの状況が続いた。相場の高騰を受け、小売り価格の水準も上昇を続けた。
11年の東日本大震災の発生時も一時的に中古車が不足して相場が高騰したケースはあった。しかし、今回のコロナ禍では、長期間にわたっており、関係者は「異常な状況」と口をそろえる。大手中古車事業者の店頭には新車価格を超える車も並ぶ事態となり、ユーザーの認知も広がった。
しかし、9月以降は新車販売台数に回復の兆しがみられ、中古車市場を取り巻く環境も変化を見せている。この2カ月間は、AA相場が下落の兆候を示し、特に高年式で高価格帯の車の動きが鈍ってきたほか、ユーザーも新車価格を超える中古車の購入を控えるようになった。12月は下取り車の増加などを受けてAAの出品台数が増えており、中古車関係者は「通常の状態に戻ってきた」とみている。
また、小売りに関しては、6月に大きなルール改正が決まった。自動車公正取引協議会(自動車公取協)は、中古車価格で諸費用を含む支払総額表示を販売店に義務付ける自動車公正取引規約・規則改正案を正式に決めた。23年10月の施行を目指す。中古車の価格を展示車両と広告に表示する場合、消費税と自賠責保険料、登録料などの諸費用含めた表示を義務付ける。
表示価格で購入できない場合は「不当表示」として違反事業者に「厳重警告」し、悪質なものは最高500万円の「違約金」を課す。おとり広告の一掃で、健全な中古車市場の構築につなげる。
中古車輸出は旺盛な状況が続いている。特に、ロシアは日系や欧米メーカーが新車販売から撤退したことを受けて日本製中古車の需要が急増した。22年の中古車輸出台数は、昨年に続いて年間120万台レベルを確保しそうだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞12月26日掲載