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2023年1月10日

日刊自連載「回顧2022年」(2)用品 部材不足やエネ費高騰で値上げの動き

用品業界では、多くのメーカーで値上げに踏み切る動きが見られた。部材不足や円安が加速したほか、ロシアのウクライナ侵攻などでエネルギー費も高騰。こうした複数の要因が絡んだことで、各社は自助努力でのコスト吸収が難しくなった格好だ。さらに、市販用カーナビゲーションなどでは、新車供給の遅れが業績停滞に追い打ちをかけた事業者もあった。

市販市場にとって逆境とも言える昨年。自動運転や電動化など自動車業界の変革に対応する施策や製品の開発を進めたメーカーも少なくなかった。この1年の企業活動によって、今年以降の展望も変わっていきそうだ。

価格改定で、異例の動きを見せたのが市販用タイヤだった。各メーカーは昨年前半に値上げを実施。その上で、昨秋以降、再度の値上げに踏み切った。天然ゴムや物流の価格高騰が長期化したことが響いており、苦渋の決断を迫られた。一方で、需要については多くのメーカーが値上げした9月を前に、駆け込み需要が発生。

日本自動車タイヤ協会(JATMA、山石昌孝会長)によると、8月の四輪車用タイヤの販売実績が前年同月比35・8%増の641万7千本となった。新車供給の遅れで、既販車の整備に伴う交換需要も高まっていることも奏功し、一定の販売本数の確保にはつながったようだ。

整備ニーズの高まりは、エンジンオイルやバッテリーなど補修部品の安定した需要にもつながった。自動車用品小売業協会(APARA、小林喜夫巳会長)がまとめた小売業4社の1月~11月の実績では、オイルではすべての月で前年実績を上回った。バッテリーも多くの月で前年と同等以上の売れ行きとなった。半導体不足は解消する傾向にあるとみられるが、新車生産の挽回までにはいまだ不安要素があるだけに、補修部品の好調さは来年も継続する可能性がある。

一方、低調だったのがカーナビやドライブレコーダーなどのエレクトロニス分野の用品だ。これらの製品は代替時に需要が高まる傾向にある。このため新車の供給不足の影響が顕著に出た。さらに、中古車の〝タマ不足〟もあり、拡販のチャンスを逸した格好だ。

ただ、逆風が吹く中でも各メーカーは独自の視点に立った製品開発に取り組んでいる。車両と外部の情報を通信によりリアルタイムでやり取りすることで、新たな製品やサービスを生み出す動きが目立った。実際、ドライバーと音声でやり取りできるドライブレコーダーなども今年の用品市場で大きな話題になった。こうした製品の開発が来年以降も逆境を覆す一手になりそうだ。

また、自動車産業の変革は、用品関連団体の再編にもつながった。日本自動車用品・部品アフターマーケット振興会(NAPAC、高瀬嶺生会長)は昨秋、日本自動車スポーツマフラー協会(JASMA)が合流する形で新体制を発足した。電動車シフトを見据えたもので、より連携を深めていく狙い。市販市場の活性化に向け、どのような施策を打ち出していくか、注目を集めている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞12月23日掲載