2022年3月04日
豊田通商子会社 国内初の自動検査機発売、車体の傷やオイル漏れを検出
車体の傷や色むら、オイル漏れやタイヤ残溝などを人工知能(AI)による画像解析で自動検出する「車両外観自動検査機」を豊田通商の子会社が発売した。こうした機能を持つ検査機は国内初だ。買い取りや中古車オークション(AA)などに欠かせない車両検査の大幅な効率化につながるとしてAA運営会社や新車ディーラー、大手の整備工場などに売り込む。
検査機はイスラエルのスタートアップ、UVeye(テルアビブ市)が開発した。様々な角度からの撮影画像を加工し、AIが部位ごとの特徴を学習して異常を見分ける仕組み。もともと車体底部を調べる警備用として開発し、この技術を応用した自動車の完成検査用「アトラス」も世界各国で販売している。
日本では豊田通商子会社の豊通オートモーティブクリエーション(TAC、村井義之社長、名古屋市中村区)が扱い、中古車AA最大手のユー・エス・エス(USS)が一部会場で車体底部などの撮影画像を会員に提供している。
今回、TACが売り出したのは工場出荷前の細かい傷も見逃さないアトラスの検出性能を最適化し、価格を抑えた「アトラス・ライト」だ。検査機の内側を自走するだけで15台のカメラが車体やタイヤ、底部を自動撮影し、傷や錆、凹み、ガラスのひび割れなどをAIが検出してリポートに出力する。
初期状態で車体側面の傷なら長さ1㌢㍍以上、凹みは直径1㌢㍍以上から検出可能だが、精度を高めることもできる。価格はアトラスの2千万~3千万円に対し、アトラス・ライトは1千万円台(工事費除く)に抑えた。本体費用のほか、検査台数に応じた料金もかかる。
TACはまず、膨大な出品検査をこなすAA運営会社を中心に売り込むが、省人化効果に加え、外観検査結果がデータ化できる利点をPRし、新車ディーラーや買い取りチェーン、整備工場にも広めたい考えだ。初年度は100台程度の販売を目指す。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞3月1日掲載