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2022年2月17日

国交省、視野障害事故抑止へ 運送事業者に対策マニュアル

国土交通省は、緑内障など運転者の視野障害による交通事故を抑止するため、自動車運送事業者を対象とした「視野障害対策マニュアル(仮称)」を早ければ3月にも策定する。視野障害に関する知識に加え、早期発見に向けた健診の活用や継続した治療の必要性、受診後の運転者への対応などを具体的に示す。

同マニュアルの活用によって運転者の「運転寿命」の延伸や、自動車運送事業者の交通事故抑止、人材確保につなげることを目指す。

国交省は2021年3月に策定した「事業用自動車総合安全プラン2025」の中で、中長期的に講じるべき施策として視野障害に関する運転リスクの周知とスクリーニング検査や眼科での視野検査受診の推奨を明記。現在、産学官の関係者で構成する事業用自動車健康起因事故対策協議会が中心となって、日本視野画像学会の医学的知見や意見を参照に最終案の策定を進めている。

同マニュアルでは、視野障害の早期発見と運転者の運転寿命延伸に必要な自動車運送事業者の取り組みなどを取りまとめる。例えば、運転者に対して視野障害に関する理解を促すため、社内教育や簡易スクリーニング検査手法の導入・実施の重要性などを説明する。また、眼科医の検診・治療の後に、自動車運送事業者で必要な取り組みも紹介する。

同マニュアルの策定を進めるのと並行して、21年12月に、自動車運送事業に係る交通事故対策検討会の元に、視野障害の早期発見と治療促進に向けた検査の普及方針などを検討するワーキンググループを設置した。

労務管理関係や眼科医の学識有識者と、日本バス協会、全国ハイヤー・タクシー連合会、全日本トラック協会が参加する。

緑内障などの視野障害では、見える範囲が狭くなったり、部分的に見えなくなるという症状が出る。しかし、視力が維持されているため自覚症状がないまま運転を続け、交通事故を引き起こす恐れがある。「突然、車や自転車が目の前に飛びだしてきた」「交差点にあるはずの信号機がなくなっていたことがある」などが症例の一例だ。

日本緑内障学会が過去に岐阜県多治見市で行った調査によると、検査で発見された緑内障患者のうち、約9割が未治療・無自覚の潜在患者であった。70歳以上の成人で、緑内障の有病率は9人に1人だった。

カテゴリー 交通安全
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月5日掲載