2021年9月24日
欧州メガサプライヤー各社 EV充電機器事業を強化、普及拡大後押し
欧州市場で加速する電気自動車(EV)シフトに対応して、メガサプライヤーが充電機器事業の強化に乗り出している。ボッシュとヴァレオはドイツ・ミュンヘンで行われた国際モーターショー「IAAモビリティ2021」で最新の充電ソリューションを発表。自動車メーカーのEVシフトに対応するとともに、充電ステーションの普及拡大を後押しする姿勢を明確にした。
欧州連合(EU)は2030年までに350万基の充電ステーションを設置する目標を掲げている。サプライヤー各社は車載充電システムでの技術力を生かし、充電インフラの普及拡大局面におけるビジネスチャンスの獲得を目指す。
ボッシュは、電力制御などを行うコントロールボックスをもたないEV向け充電ケーブルを開発した。欧州で使われるタイプ2(IEC62196―2)と家庭用コンセントに対応するアダプターを備え、家庭でも路上でも同ケーブル1本で最大22㌔㍗で充電できるのが特徴だ。
コントロールボックスが担っていた機能は、ケーブル両端のプラグ部分に組み込んだ。車両側のタイプ2コネクターには、充電電力を制御し、監視するコンポーネントを内蔵。反対側の家庭用コンセントに対応したアダプター付プラグには温度制御機能と漏電遮断器を組み込んだ。
同ケーブルはコントロールボックス付きケーブルと比べて40%軽量化し、3㌔㌘を下回る重量を実現した。ボッシュは「EV向けの標準装備にしたい」考えだ。22年中頃から自動車メーカーと一般消費者への販売を始め、充電作業を簡便化したケーブルでEVシフトをサポートする。
ヴァレオは、充電ステーションを新たに開発した。7~22㌔㍗対応のソケットとケーブルを備え、エネルギー管理機能も提供する。電気料金が安い時間帯や太陽光、風力など再生可能エネルギーから供給されている時に充電できるほか、車両で使われていない電力を電力網や特定の電気を使用する機器に再配分できる仕組みも導入した。
充電ステーションの開発に当たっては、パワーエレクトロニクスや電動システムなどの車載充電器技術を活用。「接続性とネットワークの統合、相互運用性を備える最先端のステーション」(同社)となっている。22年にも発売する計画だ。
メガサプライヤーが充電関連事業を強化するのは、「EUが充電ステーションの高い設置目標を掲げている」(ヴァレオジャパン)ことなどが背景にある。EUは充電ステーションを25年までに100万基、30年までに350万基まで増やすことに加え、主要高速道路上には60㌔㍍間隔で設置する目標を掲げている。
EVシフトで事業拡大が続く車載機器のみならず、充電インフラ分野でもビジネスを広げることで「eモビリティはコア事業となり、CO2(二酸化炭素)フリーモビリティが成長分野になる」(ボッシュ)と目論む。
カテゴリー | 展示会・講演会 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞9月17日掲載