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2021年8月25日

三菱ふそう 大型トラック事故防止、左折時など安全機能強化

三菱ふそうトラック・バスが、大型車の事故防止に向けて運転支援機能の高度化を加速している。2019年に国内商用車初となる自動運転「レベル2」(運転支援)の機能を大型トラック「スーパーグレート」に搭載。今年6月には車線内停止方式のドライバー異常時対応システムや、左折時の巻き込み事故を軽減する自動ブレーキを追加した。

いずれも国内大型トラックでは初の装備で、将来的な自動運転「レベル4」(限定地域での完全自動運転)の開発と同時進行で安全機能の強化に取り組む。

三菱ふそうの運転支援機能「アクティブ・ドライブ・アシスト」は高性能レーダーと前方認識カメラによって周辺の道路と車線の状況を認識、分析し、アクセルとブレーキ、ステアリングを制御する。車幅の広い大型トラックは、乗用車に比べてステアリングの細かな操作が必要となるが、同機能によってドライバーの負担を軽減する。

今回追加したドライバー異常時対応システムは、ステアリングアシストの機能を発展させた。ハード面の変更はないものの、ドライバーに異常が発生した場合に車両を減速して同一車線内で停止させる「エマージェンシー・ストップ・アシスト」を新たに追加した。

同機能は車線維持機能を作動中、ドライバーがステアリングホイールを操作しない状況が続くとシステムが異常発生状態にあると判断して自動で車両を停止する。15秒、30秒、50秒と、非操作時間に応じて警告が強まり、60秒経過するとハザードランプの点灯やホーンを吹鳴しながら車線内に停止し、交通事故のリスクを低減する。

左折時や車線変更時の事故軽減する「アクティブ・サイドガード・アシスト」も進化させた。自転車や歩行者などの巻き込みが発生する可能性が高いと判断した場合、ドライバーに警告を行う同機能に、被害軽減ブレーキ機能を追加。時速20㌔㍍以下の状態で警報を無視してハンドル操作を続けた場合、車両が自動で停止することで被害軽減を図る。

国土交通省によると、08~17年の左折時自転車巻き込み死亡事故の9割は大型トラックによるもの。大型トラックの場合、車高が高いために後方から来る自転車などが視界に入りにくく巻き込み事故が起こりやすいことに加え、車体が重く長いために低速であっても接触後に後輪でひいてしまう可能性が高く死亡事故につながりやすい。

このため、政府は来年1月以降に警報装置の取り付けを8㌧以上の大型トラックに義務付ける方針だ。三菱ふそうでは、すでに小型から大型まで同機能を設定するが、被害軽減ブレーキを追加することでさらなる事故防止を目指す。

車体が大きく重量がかさむ商用車は制御が難しく、自動運転「レベル3」や「レベル2」のハンズオフ機能を実現する乗用車に比べ、運転支援機能の実用化は少し遅れを取っている。三菱ふそうでは、グループのダイムラートラックと運転支援に必要なハードやソフトを共有化することでいち早く「レベル2」の導入を実現。国内の道路事情を加味しながら機能の高度化を進めている。

カテゴリー 交通安全
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞8月18日掲載