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2021年6月23日

政府の「総合物流施策大綱」 全事業者でデジタル技術導入

政府は15日、今後5年の物流のあり方を示す「総合物流施策大綱」を閣議決定した。新型コロナウイルス感染症により顕在化したデジタル化の遅れを巻き返すため、2025年度までにすべての事業者で自動化をはじめとしたデジタル技術の導入を目指す。

併せて25年度の物流業の労働生産性を、18年度比で約2割引き上げるなど、労働環境改善の取り組みを進め、慢性的な課題となったドライバー不足の解消にも役立てる。政府が一丸となって物流の構造改革を推進し、社会経済の成長を支える物流ネットワークの基盤強化につなげる。

同日開いた閣議後会見で、赤羽一嘉国土交通相は大綱について「物流を取り巻く環境変化をとらえ、物流の変革を促す」と諸施策の実行に意欲を見せた。

これまでの大綱は国交省と経済産業省が中心となり策定してきたが、新たな大綱では農林水産省が初めて事務局に加わった。国交省は荷主を所管する経産省および農水省との連携を深めることで、物流事業者だけでは難しい構造改革を「荷主と一体となって取り組む」体制を固める。

大綱では今後の5年の施策を「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)や物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化」「労働力不足対策と物流構造改革の推進」「強靭で持続可能な物流ネットワークの構築」の3つの柱で構成。それぞれに具体的な目標や戦略を盛り込んだ。

1つ目の柱ではDXの活用を強力に進めるとともに、データやパレットの標準化にも力を入れ、物流網の効率化に取り組む。2つ目では19年度で37・7%にとどまるトラックの積載効率を25年度に50%に引き上げるなど、物流の生産性改善を急ぐ。加えて、ドライバーの中で不足が目立つ若年層の構成比を高める計画を打ち出した。

3つ目では脱炭素化に向けた次世代商用車の普及促進と、自動運転や隊列走行を見据えた道路インフラの整備に取り組み物流の持続可能性を高めることを狙う。

赤羽国交相は、取りまとめたさまざまな施策について、実現が「簡単ではない」という認識を示した。さらに、物流には数々のステークホルダーが関連しており、是正に向けた調整も容易ではない。事実、20年度までの前大綱では目標未達となった項目が目立った。

しかし、DX対応やドライバー不足などの問題を放置すれば「我が国の経済が成り立たなくなる」との危機感を示し、国交省として事業者サポートを充実していく意欲を示した。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月16日掲載