2021年6月17日
国交省、30年に30日以内死者3割減へ 「交通事故のない社会」報告書案
国土交通省は、安全対策の向上にむけて車づくりの方向性を示す報告書「交通事故のない社会を目指した今後の車両安全のあり方について」の案をまとめた。車両の安全対策を強化して、2030年に「事故発生から30日以内の死者数」を20年比で3割以上減少させることを目指す。
自動運転技術を応用した先進運転支援システムの高度化と普及を推進するとともに、重大事故が目立つ高齢ドライバー対策を加速させていく。同時に歩行者や自転車など周囲の状況にも気を配る技術の導入を促進して、交通社会の安全性を高めていく。
車両安全対策の議論は、国交省の交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会に設けられた「技術安全ワーキンググループ(WG)」で昨秋から取り組んできた。このほど開かれた5回目のWGで提示した報告書案には、交通事故死傷者数の削減など具体的な数値目標を盛り込んだ。
例えば20年の30日以内死者数は3416人だが、これを30年に1200人減少させる。重傷者数は同1万1千人減を目標にした。
報告書案では4つの重点項目として「歩行者・自転車等利用者の安全確保」「自動車乗員の安全確保」「社会的背景を踏まえて重視すべき重大事故の防止」「自動運転関連技術の活用・適正利用促進」を設定。これらの下に「夜間等対応の衝突被害軽減ブレーキの安全基準の強化」といった具体的な施策を盛り込む構成とした。
さらに「新たに市場に投入される車が原因となって引き起こされる死亡事故をゼロとすることを目指す」など、より長期的な視点で安全向上に取り組む目標を報告書に入れることを検討する。達成時期を含めて詳細を議論し、できるだけ早い時期に報告書を公表する考えだ。
カテゴリー | 交通安全 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞6月10日掲載