国土交通省は、軽自動車を用いた「道路空間を活用したカーシェアリング社会実験」を東京都内2カ所で開始した。借りた車両を目的地で乗り捨てできる「ワンウェイ」方式などの実験で、その利便性を軽自動車で検証する。国交省は、2016年12月~20年9月には1人乗りの小型モビリティで乗り捨て可能なシェアリングを試した。
その結果、複数乗車の可能な車両の乗り捨てを利用したいという声が挙がったため、実験を決めた。これまで蓄積した検証結果を踏まえながら、カーシェアにおける軽自動および複数乗員の利用実態を把握していく。
先に実施したカーシェアの社会実験参加者に対し行ったアンケート調査によると、「2人乗り以上のモビリティ」に対する要望が多数確認できたという。これ受けて、今回の社会実験では乗車定員が4人の軽乗用車を用意。
ダイハツ工業「ウェイク」とホンダ「N-BOX(エヌボックス)」の2車種で試してもらう。これまでの1人乗りではカバーしきれなかった需要の可能性を探る。
車両の借り受け・返却場所となるカーシェアステーション(ST)は、地下鉄大手町駅(東京都千代田区)とJR新橋駅(同港区)に近い国道上にスペースを設けた。
駅の最寄りにSTを設置して、利便性の高い利用環境を整えることで、電車とカーシェアリングを連携した移動を試しやすくした。
実験では、複数人の乗車が可能な軽自動車を使用した場合の「安全性」および、STでの車両の出入りに伴う周辺車両の交通使用など「車道の円滑性の影響」を検証する。合わせて、道路上にSTを設置することでの利用実態の変化、効果も調べる。
カーシェアリングの運営は、昨年までの社会実験と同じくタイムズモビリティ(川上紀文社長、東京都品川区)が担当する。検証に必要なデータ提供や、カーシェア会員への告知なども同社が担う。
実験を通じて安全性や車両が出入りする際のオペレーションを確認し、ガイドライン作成に向けて知見を蓄えていく。社会実験は、4月末から23年3月末まで約2年間、実施する計画だ。