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2021年2月18日

ホンダ、モビリティサービスに本腰 自動運転車を活用

ホンダがモビリティサービス事業に本腰を入れ始めた。自動運転車を使用したサービスの実用化を見据え、「エブリゴー」などの自社サービスを他のモビリティと結びつけるMaaS(サービスとしてのモビリティ)の実証実験を一部地域で開始した。

実証実験を通じて、次世代モビリティサービスの提供に必要なシステムやデータ基盤を構築する。2020年代半ばにも自動運転車を使用したサービスの実用化にめどをつける考えだ。

モビリティサービスの展開を通じて社会課題の解決を図るとともに、従来の売り切りビジネスでは取り切れていなかった顧客層の開拓につなげる。

ホンダが昨年2月に立ち上げたモビリティサービス子会社「ホンダモビリティソリューションズ(HMS)」の高見聡社長が日刊自動車新聞社の取材で「20年代半ばに自動運転を使用したモビリティサービスの実用化にめどをつけ、30年代にビジネスとして成り立たせたい」と方針を示した。

同サービスでは、ゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発する箱型の自動運転車「クルーズ・オリジン」を使用する。米国では昨年12月に公道での実証実験に成功しており、この車両を日本の法規に適合させる。バスとタクシーの中間に当たるモビリティサービスを提供し、少子高齢化やドライバー不足といった社会課題の解決を図る。

とはいえ「自動運転のサービスをやりたいと言っているだけでは何をやるべきか具体的に見えない」(高見社長)ため、次世代モビリティサービスの運営会社となるHMSは「顧客との接点をつくり、車の使われ方の変化を知る」(同)ことを目的にカーシェアリングサービスのエブリゴーを軸にした有人での実証実験を開始。

エブリゴーは昨年10月にホンダ本体からHMSに移管した。実証実験の協業先は明らかにしていないものの、自治体のほか、鉄道会社、マイクロモビリティのシェアリングサービス事業者などと実施しており、各種モビリティを連携させるシステムの構築やビジネスモデルの模索を進める。

自動運転車を利用したモビリティサービスは、トヨタ自動車とソフトバンクの共同出資会社のモネテクノロジーズが箱型の自動運転車「eパレット」を使用したサービスの実用化を目指す。日産自動車も自動運転を使用したモビリティサービスの実証実験に意欲的だ。

高見社長は「当社も出資しているモネと目指す出口は同じ。ただ、それまでの過程で自分達ができることを進めないといけない。(GMとの)自動メーカー同士での協業による安全性の高さと二輪車やロボティクスといった当社の事業領域の広さが強みになる」と述べ、独自のモビリティサービスの実用化を目指す考えを示した。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月9日掲載