2021年2月2日
損保業界、販売・提案に新手法 DX推進、契約オンライン
損害保険業界は、コロナ禍を契機に保険商品の新たな提案・販売方法を模索している。デジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進め、契約の締結にオンラインを活用する取り組みが広がり始めた。
各社ともに非対面でも従来と同等水準の顧客対応や利便性を実現することを目指している。従来型の対面式営業活動も維持しつつ、非対面手続きのニーズにマッチする制度の構築を急ぐ。次世代の代理店営業支援を強化して顧客満足(CS)の向上につなげていく。
東京海上日動火災保険と損害保険ジャパンは、ウェブ会議アプリを活用した商談手続きシステムを整えて普及に努めている。東京海上日動は「リモートらくらく手続き」を開発。
商品の提案・説明を行ってから、顧客に二次元バーコードやURLを送付し、必要事項などを記入してもらうことで手続きを完了する。現在は、自動車保険の個人契約を対象に新規更新の手続きに対応している。将来的には、自動車保険以外への拡大も検討する。
損保ジャパンは2021年1月から電話募集の対象範囲を変更した。新たに電話で自動車保険の新規契約手続きに対応できるようにした。併せて、顧客への提案・契約に使用していたシステムを拡張した「対面ナビ(リモート)」を導入。
ウェブビデオを使用しながら、顧客の同意を得た上で担当者が画面操作を行ってシステム上で契約まで完結できる仕様とした。車両販売などを行う代理店では、納車など来店のタイミング以外でも保険の説明に時間が取れるため、繁忙期の作業効率化につなげることができる。簡潔な手続きで、顧客の利便性やCSの向上も期待できる。
あいおいニッセイ同和損害保険は、自動車保険の新規・継続契約をウェブ上で行う「らくるまネット手続き」を用意する。金融のデジタル化を手掛ける企業と協業して、「デジタル募集基盤」と呼ぶプラットフォームを作成し、新たなスキームの構築を進める。
デジタル募集基盤をさまざまな顧客を持つ新興企業に活用してもらうことで、サービスや販売の拡充を図る。プラットフォームはスマートフォンなどデジタル機器との親和性を高め、画面上で加入や内容確認、事故等の連絡などを完結させるようにした。
三井住友海上火災保険は、2月下旬に営業支援システム「MS1ブレイン」にオンライン上で保険商品の契約を行える新機能を追加する。携帯電話のショートメッセージサービスを活用し、契約手続きのためのサイトを案内する。
20年8月には、商品説明の資料を動画にする機能を追加してリモート営業への対応を強化している。MS1ブレインの機能を拡張することで、顧客や代理店の多様なニーズに対応したい考えだ。
ウェブ会議アプリなどを活用した営業システムは、対面のような親近感、画面共有による顧客の商品理解度に応じた説明、移動時間の短縮による業務効率化といった点がメリットになる。
デジタルを活用した働き方・コミュニケーション手法は普及が進んでおり、今後はデジタルを利用する営業活動が本格化する見通し。さらなる利便性向上や業務効率化に向けて、新たな機能やサービスの開発が加速しそうだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞1月30日掲載