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2021年1月7日

30年代央までに電動車のみへ 政府のグリーン成長戦略

政府は、経済と環境の好循環に向けた「グリーン成長戦略」をまとめた。12月25日に開いた「成長戦略会議」で報告された。「自動車・蓄電池」など今後成長が期待される14分野について、中長期でハイレベルな目標を設定。

乗用車の新車販売では遅くとも2030年代半ばまでに、軽自動車を含めハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などの「電動車」のみとする考えだ。

事実上の〝脱ガソリン車政策〟に舵を切ることで想定される構造変化に対応するため、中小サプライヤーやディーラーへの支援も行う考え。引き続き具体策の検討を進め、来夏をめどにさらに詳細な目標を示す方針だ。

政府は50年に温室効果ガスを実質ゼロ化する目標の実現に向け、電動車の普及を加速させる計画。今後10年間でEVの導入を強力に進めることで、電動車時代のサプライチェーンやモビリティ社会への転換を促していく。

政府は今回、EVと燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHV)とHVを電動車として定義した。この電動車の普及に欠かせない蓄電池の高効率化も国を挙げて後押しする。

高性能化だけでなく、低コスト化も普及の鍵を握るとみており、企業の投資環境の整備にも取り組む。政府は30年までのできるだけ早期に、電池パックの価格をガソリン車とEVの経済性が同等となる1㌔㍗時当たり1万円以下となる水準を実現させる考えだ。

さらに、新設するイノベーション創出に向けた2兆円基金も活用し、30年以降の次世代電池の実用化にも弾みをつけていく。

自動車産業は裾野や事業領域が広いため、政府は自動車・蓄電池分野の成長戦略について、さらに議論を深堀していく方針。このため、今回示された行程表でも30年以降の具体的な見通しは示されなかった。

また、「水素産業」分野で燃料電池トラックの商用化に取り組む計画を示した以外は商用車や二輪車についての具体的な目標も設定されていない。これらを含め、今後検討を重ねていくことで、来夏までにさらなる具体的なプランや指針が公表される可能性が高そうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞12月26日掲載