2020年12月14日
経産省 30年以降を見据えた電動化議論を本格化
経済産業省は10日、2030年以降を見据えた電動車の普及策に関する議論を本格化した。政府が掲げる50年のカーボンニュートラルの目標達成に向け、日本全体の二酸化炭素(CO2)排出量の2割を占める運輸部門の脱炭素化を加速させる。
車両単体の燃費改善だけでなく、自動車の製造から使用、廃棄までのライフサイクル全体の環境負荷の軽減を目指す。年末のグリーン成長戦略の実行計画へと反映させる考えだ。
同日、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダなど自動車関連企業が委員として参画する3回目「モビリティの構造変化と2030年以降に向けた自動車政策の方向性に関する検討会」をオンラインで開催。電動化推進や移動制約ゼロに向けた取り組みをテーマに議論を進めた。
このうち、電動化についてはライフサイクルでのカーボンニュートラルや充電インフラの整備、電動化技術の課題などが焦点となった。
委員からは「ライフサイクル全体でのCO2排出削減の観点が重要で、サプライチェーンやエネルギーを含めた取り組みが重要」「排出量取引については留意が必要」「電気自動車(EV)を何%出せばよいという単純な議論ではない」といった意見が上がったという。
電動車のキーデバイスである車載電池の研究開発支援やモーターの磁石に使う材料の安定供給、水素サプライチェーンの構築などが課題として浮かぶ。今回の検討会での議論を踏まえ、電動化などの自動車政策を年末のグリーン成長戦略の実行計画へと生かす方針。
政府が示す電動車は、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、EV、燃料電池車(FCV)。国が掲げる次世代車目標では、30年の新車販売のうち、HVを含む次世代車が50~70%に対し、ガソリン車は30~50%を占めると想定している。
自動車メーカーの電動化を後押しするために、新たに策定した30年度の乗用車燃費基準では、EVとPHVを対象に加えるとともに、16年度実績比で約3割の燃費改善の義務化を決定し、規制強化に踏み切った。
ただ、19年実績でEV・PHVが1%未満と足元で普及台数が伸び悩んでいるのが現状だ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞12月11日掲載