2020年12月4日
自動車メーカー各社 グレード・オプション絞り込み進む
新車のグレードやオプションの数を縮小する動きが広がっている。ホンダは全面改良した2代目「N―ONE(エヌワン)」のメーカーオプションを同社軽で初めて廃止し、グレードやオプションの組み合わせの数を初代投入時と比べて10分の1以下に減らした。
日産自動車やマツダもグレード数を絞り始めており、三菱自動車では今後、国内向けモデルのメーカーオプション数を減らす考えを示す。モデルごとの商品構成を見直し、生産や営業の効率向上を図る。
ホンダは2019年5月に四輪車事業の収益性向上に向けた施策として「フィット」や「シビック」といったグローバルモデルの「MTO」(モデル、タイプ、オプションの組み合わせ)を25年までに3分の1に削減する方針を発表した。20年2月に発表したフィットではMTOを従来モデルから半減し、車種の収益性を高めた。
ホンダがグレードやオプションの縮小を打ち出したのは、グローバルモデル、国内モデルともに顧客の細かいニーズに応えようとMTOが増加し、開発や生産、営業の効率が低下していたためだ。
国内向けのモデルでも削減を進めており、今回発売した新型エヌワンでは、初代を投入した当時に約100種類あった組み合わせの数を8種類にまで減らした(直近のMTOは27種類)。
具体的には「オリジナル」や「RS」といった大きく3タイプを展開し、それぞれに客層別に選択率の高かったメーカーオプションを標準装備として設定した。代わりに同社の軽では初めてメーカーオプションを廃止し、MTOを削減した。
こうした動きはホンダ以外にも見られ、マツダは「MX―30」でグレードを1種類に絞り、オプションもセットオプションを中心に用意した。日産自動車は「キックス」や「ノート」といった量販車にガソリン車グレードを設定せず「eパワー」の顧客拡大を図る。
三菱自も国内向けモデルのオプションを減らす方針で、最大3分の1程度まで縮小するケースも視野に入れる。
グレードやオプションの削減には、生産効率向上によるメーカーの収益改善に加え、販売会社の負荷軽減の狙いもある。選択率が高いオプションやグレードに絞ることで仕入れや商談の効率化につなげる考えだ。
選択肢が狭まることで、細かなニーズに対応しにくくはなるものの、その中で受注を最大化できるグレードやオプション体系を展開し、顧客の取りこぼしを防ぐ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞12月1日掲載