2020年12月1日
国交省、タクシーに「定期・回数券」 新運賃・料金サービス導入
赤羽一嘉国土交通相は11月27日の閣議後会見で、タクシー利用者の多様なニーズに応えられる新たな運賃・料金サービスを導入することを明らかにした。
複数回の利用分の運賃をまとめて支払う「一括定額運賃」に加え、需要の動向に応じて迎車料金を変えられる「変動迎車料金」の2つの新たな仕組みを取り入れる。
これらの制度については30日から、タクシー事業者の申請を受け付ける。国交省では柔軟な運賃・料金制度を構築することで、MaaS(サービスとしてのモビリティ)など次世代の旅客サービスに対応できる環境整備にもつなげていく方針だ。
一括定額運賃は、定期券や回数券のような使い方を想定しており、通勤などで継続して利用するユーザーの使い勝手を高められるとみている。
一括して運賃を精算することにより、赤羽国交相も「(ユーザーにとっては)割安にタクシーを利用できることが期待される」効果があると指摘している。国交省では観光目的などで、他の交通機関と連携したフリーパス券などとしても活用できるとみている。
また、変動迎車料金は、閑散期には割安な迎車料金に、繁忙期には割高な迎車料金に変動させることで、需要の平準化やタクシー利用の必要性が高いユーザーへの優先配車を狙いとする。
トータルでは固定迎車料金と変わらないように変動させることを条件としており、ユーザーへの過度な負担がかからないような制度設計としている。新たな2つの仕組みについては今後、定期的なモニタリングを実施し、必要に応じて制度を見直していく考えだ。
一方、検討が進められていた配車アプリを活用した複数のユーザーによる「相乗りタクシー」について赤羽国交相は、「新型コロナウイルスの感染状況を見極めつつ、導入時期を検討したい」とし、今回は見送った格好だ。
しかし、「ITを活用した新たな運賃・サービスの導入は適切に対応していく」と述べ、今後もユーザーの利便性向上につながる新制度の導入拡大に意欲を見せた。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞11月28日掲載