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2020年11月30日

車体課税、攻防が本格化 自民税調で議論始まる

車体課税の見直しをめぐる議論が26日、自民党で始まった。経済産業省と自動車業界は「コロナ禍において増税なし」(日本自動車工業会)と、現行税制の実質継続を政府・与党に働きかける。一方で財政当局は優遇対象の絞り込みを目論む。

来月10日に予定する税制改正大綱のとりまとめに向けた攻防が本格化する。

同日午後から開いた税制調査会(甘利明会長)で車体課税の議論を始めた。今年の焦点は、今年度で期限切れを迎えるエコカー減税(自動車重量税)や自動車税(軽含む)にかかる「環境性能割」の特例などだ。

前年度の大綱に盛り込まれた「中長期的な見直し」はコロナ禍で早々に先送りが決まった。

経産省と自動車業界は、電気自動車(EV)やクリーンディーゼル車など次世代自動車の免税措置を含め、実質的に基準を引き上げずに各種の減免措置を来年度以降も続けるよう要望している。

自動車利用者の税負担軽減に加え、コロナ禍で国内生産や販売が打撃を受ける中、減税を続けて内需をテコ入れし、自動車産業を通じて国内経済を下支えする狙いも込める。

EVに関しては一律の免税ではなく、環境要件を追加する意見も政府・与党内にあるが、業界は「(環境要件には)未確定な事項が多く、これまで通り構造要件で免税を維持すべき」と主張する。

2年前の大綱で「普及状況や政策支援の必要性を勘案する」と条件がつけられたクリーンディーゼル車についても、合成燃料が使える利点をにらみ、次世代車として免税を続けるよう求める。

また、自動車税(軽含む)の環境性能割について、消費税引き上げに伴う景気対策として今年度まで設けられている特例措置(1%軽減)に関しても、特例措置を延長するか、あるいは環境性能割自体の凍結を要望する。

税調に先駆けて同日午前に開かれた政務調査会・経済産業部会後、佐藤ゆかり部会長は「車体課税が一番(税調で)激論になり得る」とした上で、「環境基準が変わると急な増税になる。とはいえ、世界的に環境基準が厳しくなっているご時世もあるから環境基準は2030年度基準を掲げつつも、暫定的に増税にならない措置を特例で講ずるとか、そういう両にらみの作戦だ」と語った。

自民党税調は今後、大綱のとりまとめに向け、政府を交えて調整を本格化させる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞11月27日掲載