2020年10月26日
自動車メーカー各社、サプライチェーン多元化 政府も支援強化へ
自動車メーカー各社がサプライチェーン(供給網)対策を進めている。新型コロナウイルス感染拡大は世界規模で部品供給に影響を及ぼし、自動車メーカーも対応に追われた。
菅義偉首相はベトナム訪問中に開いた記者会見で日本企業の供給網を東南アジアに分散する方針を示すなど、リスク軽減に向けた取り組みは政府も後押しする。自動車メーカー各社も供給網の最適化と、調達先のより上流について〝見える化〟を進める考えだ。
菅首相は21日、訪問中のインドネシアでも「今回の感染症拡大によって我が国のサプライチェーンの脆弱性が明らかになった」と述べ、供給網の多元化に向けた支援を強化する方針を示した。
政府ではコロナ禍で顕在化したサプライチェーンの課題解決に向け、国内生産への回帰や東南アジアへの供給網分散を後押しする補助事業について総額で約2500億円を予算計上し、供給網のリスク軽減を図る。
世界中に生産拠点を持つ自動車のサプライチェーンでは、各地域において部品調達の最適化を進めてきたが、供給網が寸断された東日本大震災を機にリスクを軽減するための分散調達の確立や調達先の稼働再開に向けた支援体制を構築してきた。
今回のコロナ禍ではこうした取り組みが一部で実を結んだ。トヨタ自動車では、平時からサプライチェーンの見える化とリスク品目の洗い出し・対策に注力しており、コロナ禍でも国内生産への影響を最小限にとどめた。
ダイハツ工業では2011年からサプライチェーン対策を開始し、部品構成と生産拠点の見える化に着手。ティア3の状況まで調査できる体制を整えた。
また、調達先の代替えが難しい部品について一昨年前からリストアップし、ランク分けした上でバックアップ計画を構築した。これにより、コロナ禍で部品供給に影響が及んだ際もいち早くリカバリーに着手できた。
スバルでは、新型コロナの影響が真っ先に及んだ中国からの部品について他国での代替生産で対応したが、コロナ影響が世界中に広がったことで4月には部品調達が困難となり国内生産を止めた。
こうした中、サプライヤーとの情報共有の頻度を高めるとともに、輸送途中にある「パイプライン在庫」まで管理する範囲を広げて対応力引き上げを図る。
ホンダも東日本大震災以降に供給網の対策を進めてきたが、それでもコロナ禍で供給問題が一部顕在化したことから、海外を含めた複数の会社や複数の拠点からの部品調達、適切な在庫確保などによるリスク分散を改めて進める。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞10月22日掲載