2020年8月18日
国交省、水没車から脱出手順PR 頻発の大規模水害受け
国土交通省は、一般ドライバー向けに、水没した車両から適切に脱出できる手順をPRする取り組みに乗り出す。大雨による道路の冠水などで周囲の水位に応じた脱出手段を紹介したり、ガラスを割ることができる脱出用ハンマーの正しい使い方などを解説したチラシを新たに制作。
日本自動車工業会など自動車関連団体に協力を要請し、自動車やハンマーの販売現場でチラシを通じてユーザーに呼びかけてもらう計画だ。ここ数年、大規模水害などが頻発し、乗員が水没車両に閉じ込められる事故も増えている。国交省では正しい脱出方法を知るドライバーを増やし、一人でも多くの犠牲者を減らす狙いだ。
今回の取り組みは国交省が大臣直轄で力を入れる防災や減災のプロジェクトの一環に位置付けている。甚大な被害をもたらした昨年の台風では、死者の約3割が水没した車両の中で犠牲になったという。
同省では多くのドライバーが水没車両から的確に脱出できる知識を有することで被害の削減につながると判断し、PR活動などに取り組むこととした。すでに、今年も豪雨被害などで車両が水没する事例も目立っている。今年の台風シーズンを前に、新たな試みに乗り出すことで対策を急ぐ考えだ。
新たに制作したチラシでは、冠水した車両の状態によって最適な脱出方法を紹介している。例えば車のドアの半分くらいの水位だった場合は、水圧でドアが開かないため、窓を開けて逃げる方法を紹介。これ以上の水位だったり、窓が開かない場合は脱出用ハンマーを使用する方法を推奨しており、万が一の事態に備えて車両にハンマーを備える重要性も訴える。
また、脱出用ハンマー使用時の注意ポイントも解説。ハンマーではフロントガラスに使われる合わせガラスは割れないことから、サイドガラスやリアガラスで使用することを呼びかけている。さらに、JIS(日本産業規格)に適合した信頼性の高いハンマーを選ぶなど、購入時におけるアドバイスも行っていく。
国交省では今後、自工会のほか、日本自動車輸入組合と日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会、日本中古自動車販売協会連合会、自動車用品小売業協会、全国自動車用品工業会、全国石油商業組合連合会に協力を依頼する考え。
商談などの際に、ユーザーに水没車からの脱出方法や注意点などを啓もうしていく。各団体にはまず、チラシの電子データを渡していく方針。それぞれの加盟各社で印刷してユーザーに手渡しする方法だけでなく、メールなど電子的な手法による周知活動も容認することで幅広いユーザーへの情報発信につなげる。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞8月15日掲載