2020年7月21日
政府、ITS構想・ロードマップ案 バス遠隔監視で無人運転へ
政府は15日、国の高度道路交通システム(ITS)戦略の方向性を示す「官民ITS構想・ロードマップ2020案」をまとめた。2022年度をめどに、バスなどの移動サービスで遠隔監視のみの無人自動運転の実用化に取り組む方針を新たに盛り込んだ。この新たな移動サービスは、25年度にも全国40カ所以上での導入を目指す。
同時に、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(IT新戦略)案」も公表。自動車運転免許など国家資格とマイナンバーカードの連携やデジタル基盤の強化などに、政府として集中的に取り組む計画も固めた。
両案は同日開いた高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部と、官民データ活用推進戦略会議の合同会議に諮られ、了承された。政府は17日にも閣議決定するとみられる。
官民ITS構想・ロードマップは政府が毎年策定しているもの。最新版となる2020案では短期、中期、長期での目標を示す工程表を更新。遠隔監視のみで自動運転が可能な新しいモビリティーサービスの技術確立に取り組んでいく。
現状ではシステムの不具合など万一の事態が発生した場合に備え、すぐに運転を代行できる運転手も乗車する必要がある。新たな試みが実現すれば、例えば運行中の無人自動運転バスにトラブルが発生しても、遠方にいる運行管理者などが操作して運行の安全性を担保できるようになる。
省人化にもつながることから、公共交通網が脆弱な地方などで住民の移動の足の確保にも役立ちそうだ。
また、IT新戦略案では喫緊に取り組むべき事項の中で、特にマイナンバー制度のほか、国と地方を通じたデジタル基盤の構築を推進していく方針を掲げた。
新型コロナウイルス感染症をきっかけに明らかになった日本におけるデジタル化やオンライン化の遅れを、ここ数年で一気に取り戻す考え。マイナンバーカードを基盤としたデジタル社会の構築を進めるほか、バラバラだった国や地方の情報システムの標準化などを推進して国民の利便性を高めていく。
安倍晋三首相は今後3年で国の情報システムを一括調達する方式に移行し、今後5年で地方自治体の自主性を維持しながら国と地方のシステム統合を実現する考えを表明。年内に統合方針を策定するよう、関係閣僚に指示した。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞7月16日掲載