2020年7月16日
トヨタ全車種併売スタート2カ月、価格競争なし 「メリット」先行
トヨタ自動車の全車種併売開始から2カ月。新型コロナウイルスの影響による来店者数や生産への影響も落ち着き始めており、受注台数も前年に近い水準に戻りつつある。
一部で懸念された全車種併売による価格競争の激化もほぼ見られず、全体としては併売のメリットが目立つ立ち上がりとなった。一方で、チャンネルによる有利・不利は顕在化しつつあるようだ。
全車種併売は5月8日に始まった。受注競争の中心にあったのは6月中旬に発売した新型「ハリアー」だ。コロナ禍で営業活動が一部制限されたが、すでに年内に納車できないモデルもある。
既納客を抱えるトヨペット店以外のチャンネルも自社客の代替や新規客の獲得に注力し、全体の台数を押し上げてきた。
ハリアー以外の車種では、「アクア」や「C―HR」こそ期待通りの水準とはいえないが、「ライズ」や「ヤリス」といった小型車を中心に受注が伸びている。
トヨタは、新型コロナの影響を踏まえた上で一時130万台水準に落ち込むと見ていた今期の国内販売見通しを140万台とチャレンジングな水準に上方修正したが、「車さえあれば目標にも届きそうだ」と販売店も手応えをつかみ始めた。
ただ、当初より指摘されていたチャンネル別の有利・不利も出てきている。「思っていた以上に『それなりの車はそれなりの店で』と考えるお客さまが多かった」(関東圏のトヨタ店首脳)という。
買いやすい価格帯のモデルは4チャンネルともに売りやすいが、同社の首脳は上級車に限ればトヨタ店とトヨペット店が優勢とみる。
特にトヨタ店は新たに扱いを始めた車種の比率が3~4割程度と、他のチャンネルよりも高く、台数ベースでは併売効果を享受しているもようだ。
だが、カローラ店、ネッツ店にとっても併売がネガティブに作用している訳ではない。
例えば、ネッツ店では16年ぶりに扱い車種に戻った「プロボックス」が好調に推移。北海道のネッツ店首脳は「扱い車種だった当時の保有客に代替提案できるようになった」と、法人需要の開拓に今後も力を入れる考えを示す。
販売現場では7月に入ってイベントなどの販促活動もようやく打ち出せるようになってきた。今後はどこまで他銘柄客を獲得していけるかに注目が集まる。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞7月9日掲載