会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2020年7月14日

多様な働き方を後押し 自動車メーカーが在宅制度づくり

自動車メーカーで多様な働き方を後押しする制度づくりが進む。トヨタ自動車は、在宅勤務制度を拡充し、対象を若手を含む全事技職(事務系・技術系社員)・業務職と、一部の技能職に広げる方針だ。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて特例措置としてきた制度を9月以降も恒久化し、生産性の向上と感染拡大の防止を図る。

ホンダは4月に社内制度を改定してより多くの社員の在宅勤務を認めている。日産自動車も在宅勤務制度の上限時間や対象者などを見直す予定で、コロナ禍をきっかけに、今後自動車業界で働き方改革が大きく前進しそうだ。

トヨタは、これまでにも段階的に在宅勤務制度を拡充してきた。2002年に総合職を対象に育児を目的とした在宅勤務制度を導入した。16年には事技職と業務職を対象に、入社から一定期間が経った指導職の社員の在宅勤務を認めた。若手社員は対象に含まれていなかった。

新型コロナの国内感染の拡大を受けて、従来の在宅勤務制度に特例を設け、対象に事技職・業務職の若手社員を加えた。さらに、子育てや介護などにより時短勤務中の社員も含めた。

こうした特例措置を9月以降に制度を整えて恒久化する。すでに労使間で合意したという。従来の在宅勤務の対象を広げるとともに、週2時間の出社義務も撤廃する。

子育てや介護中の時短勤務社員の在宅勤務も認める。工場で働く一部の技能職についても在宅勤務を導入できるかを検討する。トヨタは同制度拡充の狙いとして、新型コロナの感染拡大防止と生産性向上を挙げる。

特に、後者について豊田章男社長は5月のオンライン決算会見で、移動自粛下の自身の仕事への取り組み方を変えたことで移動時間や会議時間、会議資料が減ったことなどから「その時間を未来への投資や新しいトヨタへの仕事のリソーセスに変更できる」と働き方の変革に前向きな姿勢を示した。

ホンダは、社員一人ひとりの仕事の質・スピードを上げることと働きがいの両立を目指し、4月1日付で社内制度を改定した。在宅勤務制度の対象を入社1年未満の社員と生産部門を除くすべての社員に拡大。対象者数は従来の1万9千人から2万4千人(生産部門を除く)に増やした。

生産現場の働き方の改善にも着手し、生産ラインのチームリーダーや各チームをまとめるユニットリーダーを対象にフレックス制度を導入するほか、育児や介護などの必要がある社員の一部は在宅勤務をできるよう環境を整える。

生産部門の育児、介護、病気療養中の従業員を対象に導入している短時間勤務制度や勤務シフトを固定する制度も活用して、より柔軟に働ける職場づくりを進める。

日産は06年に在宅勤務制度を導入後、制度改正を経て、現在は製造工程を除く全従業員を対象に制度運用している。在宅勤務の利用上限について、育児・介護両立者の上限は月の所定労働時間の50%、そのほかの従業員は月40時間としている。感染症問題などを受け、今後上限時間や実施場所、対象者などを見直していくという。

スズキは新型コロナの感染拡大防止に向けて、東京支社を含む首都圏でテレワークを継続しており、出社率を50%程度としている。本社(浜松市南区)でも、従来からあるフレックスタイム制度の活用を推進する。コロナ禍での緊急対策としつつも、社員の柔軟な働き方を後押しする。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月10日掲載