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自動車産業インフォメーション

2020年7月13日

あおり運転厳罰化 改正道路交通法が施行

あおり運転を厳罰化する改正道路交通法が施行された。最大で5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科せられるほか、行政処分も重くなり、違反者は運転免許の取り消し対象に追加された。法整備による危険な運転の抑止が期待される。

一方、あおり運転の対策に用いられるドライブレコーダーやSOSコールの普及も急速に進んでいる。ただし、普及率はまだ限定的だ。自動車メーカーやディーラー、アフター業界などではさらなる啓発活動が求められそうだ。

6月30日に施行された改正道交法では、急な割り込みや異常な接近、蛇行運転といった10種類の行為を「あおり運転(妨害運転)」と定義。

また、7月2日に施行された改正自動車運転処罰法では危険運転致死傷罪の適用範囲に、これまでのような速度の要件を設けず、高速道路などで走行中の車の前でその車を停止・徐行させる行為など、停車行為を対象に加えた。

2017年に発生し、今回の法改正の大きなきっかけとなったあおり運転による神奈川県での東名高速道路上の夫婦死亡事故では、加害者側の車両が停車していたため、危険運転として認められず、法整備の不備が指摘されていた。

あおり運転の厳罰化とあおり運転の結果に対する罰則を加え、行為の抑止を狙う。

ただ、ペナルティーが厳しくなるため、その立証には、従来以上に客観的な強い裏付けのある証拠が求められることになる。

この判断材料の代表格といえるのがドライブレコーダーだ。ドライブレコーダーはこれまでも常磐自動車道でのあおり運転殴打事件をはじめ、あおり運転による衝撃的な事件・事故が報道されるたびに需要が拡大し、今回の法改正でも販売が伸びた。

オートバックスセブンでは、新型コロナウイルスの影響で来店者数などが伸び悩む中、改正道交法が施行される直前の約10日間でドライブレコーダーの販売ペースが前年同期比3割増で推移。

「(あおり運転が)厳罰化されることにより、『加害者にならないようにするためにもドライブレコーダーが必要』という認識が広がりつつある」(同社)という。

ただ、それでも保有台数に占めるドライブレコーダーの装着率は3~4割程度にとどまる。業界としてはさらに意識的に普及を進める必要がありそうだ。

あおり運転の対策機能としてTCUなどの通信機器を使用して緊急時に警察や消防に通報できる「ヘルプネット(SOSコール)」にも注目が集まっている。

ヘルプネットは2000年に搭載が始まり、近年は軽自動車に標準装備されるまでに普及し、搭載車両数は250万台以上に増加した。運営会社の日本緊急通報サービスによると、1週間に数回程度はあおり運転の被害者から通報が届いているという。

同社は「昨年あたりからあおり運転の際も使用できることへの認知が進んだ」としており、「危険な時には利用してほしい」と有事におけるヘルプネットの活用を呼びかけている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月8日掲載