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2020年6月24日

本格始動、スマートシティ構築 先行モデル事業が実証段階へ

官民連携によるスマートシティ構築に向けた取り組みが本格化する。国土交通省が先駆的な取り組みとして選定した「先行モデルプロジェクト」について具体的な実行計画が策定され、社会実装に向けた実証フェーズへと移る。

大都市から地方部、中山間地域など、モデルごとで異なる課題に対し、自動運転技術や人工知能(AI)といった先進技術を活用して解決を狙う。トヨタ自動車がスマートシティの構想を打ち出しており、国としても企業や自治体の動きを全国で生み出すよう支援する。

政府は2019年8月に、官民連携でスマートシティ構築に向けた取り組みを強力に推進するため「スマートシティ官民連携プラットフォーム」を設立した。

内閣府や経済産業省、国交省などの関係省庁に加え、民間企業や大学など484の団体が参画し、全国でスマートシティ関連事業を推進する。スマートシティ構想の中には、人々の移動手段を高度化するMaaS(サービスとしてのモビリティ)関連なども含まれる。

同プラットフォームのうちコア事業の1つであるスマートシティモデル事業について、国交省は19年に70以上の官民コンソーシアムからアイデアを集めた。

この中でも全国のけん引役となる先駆的な取り組みとして「先行モデルプロジェクト」を15事業、計画策定支援などにより早期の事業化を促進する「重点事業化促進プロジェクト」を23事業選定した。また、受けた提案の中で一定のレベルや意欲を確認したコンソーシアムを「スマートシティ推進パートナー」とし、71団体を選んだ。

先行モデルプロジェクトのうち、自治体やモネテクノロジーズ(宮川潤一社長兼CEO)などが参画する「仙北市スマートシティ推進コンソーシアム」は、秋田県仙北市で高齢社会に対応した交通手段としてデマンド型交通システムを取り入れたり、ドローンやAIなどを活用した産業振興を図る構想だ。

また、広島県三次市内を舞台としたプロジェクトでは、自治体やマツダを中心にコンソーシアムをつくり、エネルギーの地産地消や低炭素なモビリティを使った移動サービスの実現、地域財産を生かしたインバウンド促進を狙う。

20年4月には先行モデルプロジェクトの15事業についてスマートシティの実行計画が策定された。公表された各プランには、社会実装時期やサービスの売上高目標、実行体制、目指す将来像などが盛り込まれている。

例えば、仙北市は「小さな国際文化都市」を将来像に掲げ、30年度に無人自動運転サービス、ドローンによる物流サービス、水素エネルギーの域内利用などを社会実装して、市民生活の質の向上や産業の活性化を目指す。同年度までに、自動運転型モビリティサービスの売上高は430万円、水素供給サービスの売上高は1億1千万円へと積み上げる。

マツダが参画する三次市の実行計画は、ITシステムを駆使して交通事業者との連携や貨客混載輸送を最適化する。自治体などと協力しながら、マツダが移動サービス事業を担い、デンソーが地域交流活性化に取り組む。21年に貨客混載の実証に着手し、25年からは広島県内16市町の過疎地域に各サービスを横展開する計画だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞6月17日掲載