2020年6月17日
電動車 電力需給の調整役として広がる活用
再生可能エネルギーの導入拡大を見据え、電動車を電力需給の調整役としてエネルギーインフラに組み込む試みが広がっている。
東京電力ホールディングスや三菱自動車などは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、蓄電池など社会に散らばるエネルギーリソースを統合制御し、発電所のように機能させる実証を始める。ホンダは欧州でEV向けエネルギーマネジメントサービスを年内に開始する。
日本はエネルギー政策で2030年度に再エネ比率を16年度の15%から22~24%に引き上げる計画。ただ、再エネの導入には、気象条件によって発電量が変動することや余剰電力の発生といった課題がある。EVやPHVの高容量車載バッテリーに電力を貯めて必要な時に供給したり、再び貯めて有効活用する。
三菱自や電力会社など30社は8日、経済産業省が公募する20年度のバーチャルパワープラント(VPP)実証事業を開始すると発表した。EVやPHVなど街中にあるエネルギーリソースをIoT(モノのインターネット)技術で遠隔管理し、仮想の発電所のように機能させて電力需給を調整する仕組みを構築する。
ホンダは、四輪車や二輪車など多様なバッテリーを統合制御して電力需給を調整する「eMaaSシステム」を推進する。
この具体化に向け、再エネの活用と充電コスト低減を両立するEV向けエネルギーマネジメントサービス「e:PROGRESS(イープログレス)」を年内に欧州で開始する。電力需要が少なく、最も電力料金の安い時間帯にEVを充電することで、電力需要を平準化し、再エネ由来の電力使用拡大に貢献する。
日産自動車は西日本電信電話(NTT西日本)などと協業し、EV「リーフ」を活用したオフィスビルでのエネルギーコストを削減する取り組みを実施。太陽光発電システムやEVを組み合わせ夏場などでの電力ピークカットに貢献する。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞6月10日掲載