2020年6月12日
車体・架装業界20年度予想 コロナ禍の状況見通せず
新型コロナウイルス感染拡大の影響によるシャシー生産の遅れが、車体・架装メーカーに影響を与えている。日本自動車車体工業会(木村昌平会長)が発表した「2020年度車体業界の見通し」によると、本年度の商用車需要は、コロナ禍の状況が見通せていないことから、需要の下振れを想定する。
加えて、長期的には社会環境変化に伴う国内輸送量の減少を見込み、国内商用車需要は横ばい、もしくは漸減すると予測している。
こうした状況の中、車工会としては、将来を見据えた活動を推進する。特に、会員企業から要望の強い技術的支援活動に重点的に取り組む。人材育成や生産性向上につながる支援策の強化についても積極的に進める方針を示した。
19年度の商用車市場は、自然災害に伴う受注の減少や消費税率引き上げに伴う反動減に加え、年度末には新型コロナウイルス感染拡大による影響で前年度比2・1%減の44万1千台と2年ぶりに前年度を下回った。
これに伴い、車工会会員の19年度生産台数は合計で同1・3%減の230万4千台と2年ぶりに前年度を下回った。このうち、トラックメーカーからの受託生産車である乗・商用小型等を除く同会の非量産車の合計は同2・3%減の18万3千台と2年連続で前年度を下回った。
車種別の内訳では、特装車、特種車、トレーラー、大中型バスが増加したものの、平ボディートラック(除メーカー標準車)は同6・7%減の1万5563台、バンは同5・6%減の8万484台と減少した。
19年9月1日以降の生産車に適応が開始された「平成28年排出ガス規制」の駆け込み需要の反動により、下期の受注が落ち込んだことも影響したとみられる。
トレーラーは、同8・1%増の9437台で13年度以降7年連続のプラスと好調が続いている。物流業界における人手不足により、需要が増加したことが背景にある。
日本フルハーフの昼間弘康社長は、小型トラックの需要について「2019年9月の排出ガス規制前の駆け込み需要の反動は大きい。上期と下期で見た場合、当社の小型トラックの架装台数は3割程ダウンしている」とした上で「前年同期と比べた下期はさらに大きなダウンである。2020年度についてもこの流れは変わらないとみている」と語る。
コロナ禍でトラックメーカーのシャシー生産が停止したことで、多くの会員企業で生産に影響が出ている。これに伴い、20年度は受注の大幅減が懸念されている。ある架装メーカーの担当者は「当社では新型コロナウイルスによる生産の停止は無かった。
しかし、トラックメーカーからのシャシーの納入が遅れたため、生産に遅延が発生している。受注自体も落ち込んできていることから、今後の影響は不透明だ」と話した。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞6月9日掲載