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自動車産業インフォメーション

2020年5月21日

自動車メーカー決算前半戦 コロナ直撃で軒並み大幅減益

トヨタ自動車、ホンダ、マツダ、日野自動車が2020年3月期連結業績を発表し、自動車メーカーの決算発表の前半戦が終了した。日野を除く3社のコロナ禍による営業減益効果は合計3千億円となった。

地域によるが、影響は長くて来年初めまで続くとみられ、21年3月期のトヨタの連結販売台数は前期比で195万台減る見通しだ。自動車5社が赤字に転落した「リーマン・ショック以上の衝撃」(豊田章男トヨタ社長)にメーカー各社は耐えうるか。リーマン後に進めてきた収益改善の成果が問われる。

20年3月期のトヨタの営業利益は前年同期比1・0%減の2兆4428億円、ホンダは同12・8%減の6336億円、マツダは同47・0%減の436億円、日野は同36・7%減の548億円だった。4社は主要国の回復時期を早くとも「米国は夏ごろ」(ホンダ)、地域によっては「インドネシア、タイは4Q以降の回復を見込む」(日野)と想定し、21年3月期はいずれもさらなる業績悪化が避けられない状況だ。

その中で「非常に落ち着いている」(同)と前向きな見通しを示すのがトヨタだ。4社で唯一業績予想(営業利益5千億円)を公表したのは、「リーマンの時だと赤字だった」(小林耕士取締役)企業体質がこの11年で強化されたことへの自信の表れといえる。前期は「ここ数年でも大きな改善だった」(近健太執行役員)と2850億円(為替、スワップ、コロナ禍の影響を除く)の収益改善を実現した。

一方、4社の中で特に厳しい状況に立たされているのがマツダだ。19年に全面改良した「マツダ3」の投入に合わせ、「量から質」への販売戦略を加速したが、コロナ禍以前に北米の需要低迷で当初の想定以上に販売台数が悪化していた。戦略の転換による収益率の改善効果はあるが、景気が悪化する中、値引きに頼らない販売をどこまで維持できるか、正念場を迎える。

18日以降に発表する日産自動車や三菱自動車の20年3月期の決算は最終赤字に転落する見通し。経済活動が停止したインドを主力とするスズキや米国の販売が急減したスバルもコロナ禍が前期の業績に大きな影響を与えたとみられる。今期は前期以上に厳しい環境だが、「次世代技術への投資も減らせない」(八郷隆弘ホンダ社長)と研究開発費も重くのしかかる。追加の構造改革や他社との提携加速が迫られる契機にもなりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月18日掲載