2020年5月20日
関西の自動車関連企業、新入社員教育に工夫 在宅勤務の不安解消
新型コロナウイルス感染拡大の影響で通常の出社が難しい中、関西に本社を置く自動車関連企業は例年と異なる形で新入社員教育を行っている。在宅勤務でのオンライン研修だけでなく、ウェブ会議を活用したコミュニケーションの機会創出など、在宅勤務時の不安解消に向けたフォロー体制の構築にも余念がない。
政府の緊急事態宣言に伴い、各社は新入社員の研修体制を見直した。新入社員を在宅勤務とした会社では「ウェブやeラーニングを活用した研修を実施している」(NTN)という。ビジネスマナーや社内部門の紹介などに関するコンテンツを用意して配信し、新入社員が自宅で学べる環境を整えている。
ただ、人と直接顔を合わせない在宅勤務は新入社員にとって不安も大きい。この解消に向け、各社は人事担当者に加えて配属部署内でも新入社員をフォローする体制を整えている。
トーヨータイヤは新入社員一人ひとりに指導員を付け、ウェブ会議システムと電話、メールを活用して始業・終業時に当日の予定や実績確認を行う。住友ゴム工業や堀場製作所、NTNもウェブ会議システムなどを活用し、部署内で積極的にコミュニケーションを図っている。
新入社員が同期とつながりを持ちやすくする取り組みもみられる。トーヨータイヤは5月以降に配属部署を超えた4~5人のグループを作り、ウェブ会議システムを活用してコミュニケーションを取る場を設ける方針だ。住友ゴムも「絆を深められる機会を会社として作る」ことを検討している。
各社は新入社員研修のスケジュール変更も余儀なくされた。住友ゴムとトーヨータイヤは配属先の通達を予定より早めたが、両社とも事務系も含めた工場研修の実施については、「(時期は)後ろ倒しになるだろう」(住友ゴム)、「新型コロナの収束状況に応じて判断する」(トーヨータイヤ)と現時点では不透明だ。
一方で、3密(密集・密閉・密接)の回避を徹底し、研修を行う企業もある。堀場製作所は入社後の集合研修を3グループに分けて実施した。室内の換気やアルコール消毒をこまめにして感染拡大防止に努めている。
緊急事態宣言が5月末まで延長されたが、同社では研修を通常通り行い、「従来予定していたスケジュールに大きな影響はない」とする。配属後も在宅勤務や時差出勤、シフト制により、できるだけ人との接触を避ける勤務形態を取る。
一部の県を対象に緊急事態宣言の解除が決定されたが、各社は新入社員が〝孤立〟しない環境を作りながら、可能な範囲内での教育を実行する方針だ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞5月15日掲載