2020年5月20日
コンパクトSUVに期待 新型投入で裾野広がる
新車市場で小型SUVの存在感が高まっている。2019年11月に発売したトヨタ自動車「ライズ」に加え、ホンダ「ヴェゼル」やトヨタ「C―HR」など発売から時間が経過したモデルも堅調に受注を重ねている。さらに日産自動車が新型の小型SUV「キックス」の発売に向けて準備を進め、今秋にもトヨタが新型「ヤリスクロス」を投入する見込みだ。コロナ禍による外出自粛要請が緩和へ向かいつつある中、停滞する新車販売市場での起爆剤として期待が掛かる。
登録車販売におけるSUVのボリュームは年々高まっている。中でも小型SUVは、スタイルだけでなく、街乗りでの取り回しの良さも加わり、幅広い層から関心を集めている状況だ。
こうした中、トヨタは4月下旬、2月発売の「ヤリス」と同様のコンパクトカー向けTNGA(トヨタ・ニューグローバル・アーキテクチャー)プラットフォームを採用する「ヤリスクロス」をウェブで初公開。今秋にも日本で発売すると発表した。
トヨタの小型SUVは16年12月発売のC―HRに加え、昨秋投入のライズもヒット。ライズは発売した11月から6カ月連続で登録車の車名別販売でSUVトップを続けており、20年1、2月にはSUVとしては初めて2カ月連続で登録車の首位に立つなど、トヨタ系販社にとっては欠かせない1台になった。新型コロナウイルス感染の収束具合にもよるが、ヤリスクロスによるラインアップの拡充は、小型SUVの販売拡大の追い風になる。
キックスの投入を控える日産販社も久々の登録車の新型発売に期待値は高い。19年度の登録車販売は、日本自動車販売協会連合会(自販連)の統計で過去最低の実績に沈むなど厳しい状況が続いており、新商品を反転攻勢への足掛かりにしたいところ。新規客の取り込みだけでなく、「ジューク」や「エクストレイル」など保有客からの代替えが加速する可能性もある。
これまで小型SUV市場をけん引してきたホンダのヴェゼルは、13年12月の発売から7年目を迎えている。全面改良への期待も高まるが、足元でも登録車の車名別ランキングで20位前後に入っており、根強い人気がある。
1月にはマツダが「CX―30」を発売したほか、フォルクスワーゲン「T―Cross(Tクロス)」の販売が開始されるなど国内外メーカーを問わず小型SUVの拡充に乗り出しており、裾野はさらに広がりそうだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞5月15日掲載