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2020年4月21日

日刊自連載「整備業界の現状と展望 19年度版整備白書を読む」④メカニック不足の実態

整備業界ではメカニックの人材不足が顕在化して久しい。日本自動車整備振興会連合会(日整連、竹林武一会長)の2019年度版「自動車整備白書」によると、19年度の整備要員数は前年度比0・1%減の39万9135人となり、5年連続で減少した。3年連続で30万人を割り込み、11年度をピークに減少傾向が続いている。

若者のクルマ離れの影響でメカニックを目指す志望者数が減少している。加えて、少子高齢化で若年人口も減少し続けている。それだけに、今後も課題解決のために関係者が一丸となって尽力することが求められている。

今回の調査で、全体の整備関係従業員数は同0・2%増の53万6493人となり、2年連続で増加した。業態別では、専・兼業が同0・1%増の34万8013人、ディーラーは同0・8%増の16万7371人、自家は同3・3%減の2万1109人だった。

より深刻さを増しているのが整備作業に直接従事する整備要員数だ。減少は5年連続で3年連続で30万人を割り込んだ。14年度に増加した以外はここ数年来、減少傾向が続いている。

特に、専・兼業は同0・2%減の26万3730人となり、8年連続で減少した。背景には、組織的な採用活動が難しいことや経営者の高齢化による廃業、引退がある、と推察される。ディーラーは同0・9%増の11万7081人で2年連続で増加した。整備資格を有しない新卒者や転職者も整備要員に採用したため、と日整連は分析する。

有資格の整備士数も減少傾向にあり、同0・5%減の33万6897人で3年振りに減少した。業態別では、専・兼業が同0・9%減の21万1917人、ディーラーが同0・5%減の10万9821人となり、前年度と増減が逆転した。

世の中全体で女性戦力の積極活用が進む中で、整備業界でも女性スタッフが求められている。ただ、調査では女性整備士が同3・3%減の1万258人と減少した。マイナスは3年連続で、全体に占める女性比率も同0・1㌽減の3・0%。残り97・0%が男性となるだけに、女性整備士は圧倒的に少数派であることは確かだ。

業態別では、専・兼業が同7・1%減の8698人、ディーラーが同22・5%増の1386人。積極的な採用活動の結果、ディーラーの女性整備士が増えている一方で、専・兼業は減少していることが分かる。ただ、10年前の09年度調査で女性整備士数は1万2428人で、10年間で17・5%減、人数にして2170人も減少している。長期的に減少傾向であることから、女性整備士の拡充が改めて求められているといえる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月16日掲載