2020年4月17日
トヨタモビリティ基金と自販連 全国で29件の助成対象案件採択
トヨタ・モビリティ基金(TMF、豊田章男理事長)と日本自動車販売協会連合会(自販連、加藤和夫会長)は、自販連の会員販売店が取り組む地域支援活動に対して行う助成事業について、全国で計29件の助成対象案件を採択した。
販売店単独だけでなく、自治体や地元企業と連携した案件が多く、移動支援の仕組みづくりを通じて高齢者など交通弱者の支援や地域活性化を目指していく。TMFが期間を最大2年間として、1事業につき上限2千万円を助成する。4月下旬から順次、助成を開始。地域課題の解決と持続可能な地域支援活動につなげる。
TMFと自販連は、2019年9月に自販連会員販売店による地域支援活動に対する助成事業を行うと発表。同11月から20年1月31日まで、地域の課題の解決を目指す活動に関する案件を募集していた。応募総数は51件だった。
採択案件を地域別で見ると、北海道3件、東北3件、関東7件、中部5件、近畿5件、四国2件、九州・沖縄4件だった。販売店単独だけでなく、自治体やタクシー会社、コンサルタント会社など地元企業と協力して進める案件が目立った。系列別ではトヨタ以外にもホンダ、日産、マツダ、ダイハツから応募があった。
採択案件の活動内容は、地域の移動に長く携わってきた販売店の経験やノウハウを生かしたものが多い。例えば、オンデマンドでのコミュニティバスの運行によって、利便性向上と経済的負担を軽減して外出を促進する仕組みづくりや、試乗車の未使用時間を活用して外出意欲はあるが移動手段がない高齢者などへの移動支援を行うものがある。
また、すでに地域にある生活支援サービスに移動支援を追加して、新たなNPO法人を立ち上げるケースもある。このほか、乳幼児や小学生を対象とした移動支援の実証実験を行ったり、災害時の車両活用の検討や台風19号の被災地でさまざまな移動手段を構築して地域活性化に取り組む活動などがある。
応募案件については、地域経営や地域の移動課題解決に取り組む大学教授、NPO法人の代表など有識者によって選考を行った。選考基準は①移動課題の解決など豊かな暮らしの実現に貢献する活動である②対象地域の市民の意向に合致③全国の他の地域や団体に波及し、モデルとなり得る―の3項目とした。
助成先の個社あるいは団体には、活動開始後3カ月後、6カ月後、1年半後に定期活動報告書を提出してもらう。また、1年後の21年度末には、活動成果と助成金使用状況などを記した年次報告も行ってもらう。TMFでは、助成終了後も活動を継続していけるよう、適切な進捗確認やアドバイスを行っていく考え。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞4月14日掲載